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『ワンルーム不動産投資を利用した場合の節税の仕組み』

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不動産投資

不動産投資を行う場合、数千万円~数億円と多額の購入資金が必要となるが、実際には金融機関からの借入などを行って購入していくことが多いため、自己資金はある程度の金額を準備すれば購入することができる。

ただし、購入資金が多くなってしまうと購入時の自己資金も多くなってしまうので、そんな中でもワンルーム不動産投資は購入資金・自己資金が少なく始められるため、初めて不動産投資する場合には、ワンルーム不動産投資が始められやすくなっています。
そんなワンルーム不動産投資ですが、購入検討時に節税の話をされることが多くあります。そんなワンルーム不動産投資の節税の仕組みをここでは見ていきたいと思います。


不動産所得

不動産投資を行った場合、確定申告時に不動産所得の計算を行っていきます。

不動産所得は、単純なお金の収支ではなく、総収入金額から必要経費を差し引いて計算していきます。実際の総収入金額・必要経費を見ていきたいと思います。

・総収入金額
賃貸料:借主からの毎月の家賃・共益費が収入になります。
礼金:借主からの入居時の礼金が収入になります。
更新料:借主からの更新時の更新料が収入になります。

・必要経費
●固定資産税:不動産所有にかかる税金で、1月1日現在の所有者にかかる税金となります。そのため、購入した年は固定資産税の納税はありません。
●不動産取得税:不動産購入時にかかる税金で、ワンルーム不動産の場合、市区町村によってバラツキはありますが、半年前後で納税通知書が送られてきます。
●管理費・修繕積立金:マンションを所有すると毎月のマンション管理費・将来の修繕のための修繕積立金がかかります。
●管理手数料:不動産会社に支払う家賃の管理手数料になります。
火災保険料・地震保険料:不動産の火災保険・地震保険になります。保険期間で按分して必要経費を計算していきます。
●不動産会社手数料:入居時・更新時の手数料が経費になります。
●金融機関事務手数料:融資時の金融機関の事務手数料になります。
登記費用:不動産購入した時の登記費用になります。
●借入金利子:不動産購入した借入金の返済額のうち、利息部分になります。
●減価償却費:建物・設備は長期にわたって使用する固定資産で、時間の経過に合わせて費用を計上していきます。通常、ワンルーム不動産投資の新築の場合、建物は47年・設備は15年で償却していきます。
●その他経費:不動産に関連するその他にかかった経費がここに含まれます。

総収入金額は、一年目は購入時から12月末までの家賃等が収入となります。二年目以降は一年分の家賃等が収入となります。
必要経費は、不動産取得税・金融機関手数料・登記費用などは購入時のみにかかる経費と固定資産税・管理費・借入金利子などは通年かかる経費があります。

つまり、一年目は収入が少なく経費も多くなるため、不動産所得がマイナスになるケースが多くなります。

損益通算

不動産所得のマイナスは他の所得と損益通算することができます。つまり、不動産所得のマイナスと給与所得を損益通算することで給与の源泉所得税の還付を受けることができます。

ただし、不動産所得のマイナスのうち、土地負債利子部分は他の所得と損益通算することができません。

下記は不動産投資をした場合に一年目にどのように所得税が還付されるかの例示となります。

・年収1,000万円を前提とし、下記の給料想定により計算していきます。
給与収入:10,000,000円
給与所得:8,050,000円
所得控除:1,550,000円
課税所得:6,500,000円
源泉所得税:890,800円

・不動産所得のマイナスの内容は下記の想定により計算していきます。
不動産所得:△1,050,000円
土地負債利子:50,000円

・損益通算による所得税の還付金は下記の通りなります。
給与所得:8,050,000円
不動産所得:△1,000,000円(損益通算できる金額)
所得控除:1,550,000円
課税所得:5,500,000円
所得税:686,600円
源泉所得税:890,800円
還付所得税:204,200円

上記の条件により計算すると所得税が20万円程度還付されることとなります。また、それ以外に住民税が10万円程度少なくなります。
所得税の場合、累進課税ですので、給料の課税所得の金額が大きくなると所得税の還付金の金額は大きくなります。また、不動産所得のマイナスが大きくなった場合も所得税の還付金の金額は大きくなります。

二年目以降は、不動産所得がプラスになったり、不動産所得がマイナスであっても土地負債利子の金額の方が大きい場合は、損益通算することはできません。たとえ、損益通算できたとしても経費の多い一年目より還付金の金額は少なくなることは確実ですので、ワンルーム投資を利用した場合の節税は、購入した年が多くなることがわかります。

不動産投資を行う場合、節税目的のみで購入することはないと思いますが、ご自身の状況に合わせて十分に節税できるタイミングで購入するのも一つの方法ですので、購入の検討の参考になればと思います。




税理士 中村 武志

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