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「青色欠損金の繰戻し還付の利用」

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法人の欠損金

新型コロナウイルス感染症の影響により、業績が赤字となる法人が増えており、赤字法人がさらに増えてくることも予想されます。また、これから決算を迎える法人は事業年度の半分以上がコロナ過の状況で、より一層厳しい決算内容となってくることでしょう。

青色申告を提出している法人は欠損金(赤字)が生じる場合には、生じた青色欠損金は10年間繰越することができ、翌事業年度以後の所得金額(黒字)と相殺することができます。

ただ、こんな状況下では翌事業年度の業績も厳しい見通しとなっており、将来の欠損金の相殺より早い段階での税負担軽減が求められます。そんな法人は少しでも資金繰りを助けるために過去に申告した事業年度の黒字と欠損金を相殺して、納税した法人税等の全部または一部の還付を受けることができます。

そんな法人税等の還付を受けることができる青色欠損金の繰戻し還付制度をここでは見ていきたいと思います。

青色欠損金の繰戻し還付の概要

青色欠損金の繰戻し還付は青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合に、その欠損金額を前事業年度の還付所得事業年度に繰り戻して計算することで法人税額の還付を請求できるという制度になります。

この制度は、清算中に終了する各事業年度の欠損金額、解散等の事実が生じた場合の欠損金額、中小企業等(資本金1億円以下)の各事業年度の欠損金額において適用することができます。また、還付金額の計算は以下のとおりとなります。

                       
還付金額=還付所得事業年度の法人税額 ×  欠損事業年度の欠損金額 / 還付所得事業年度の所得金額          
                     

新型コロナウイルス感染症による適用範囲の拡大

新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度については、資本金が1億円超10億円以下の法人については、青色欠損金の繰戻し還付の適用を受けることができます。

青色欠損金の繰戻し還付の検討

青色欠損金の繰戻し還付は、前事業年度の納税と当事業年度の欠損金額が鍵となります。新型コロナウイルス感染症以前、業績が良く多く納税しており、当事業年度は多額の欠損金額が発生する場合には、青色欠損金の繰戻し還付を検討してみてはいかがでしょうか。

青色欠損金の繰戻し還付を行う場合に注意が必要なのは、還付の対象となるのは法人税と地方法人税です。住民税・事業税などは還付の対象とならないので、多額の欠損金が生じても納税した税金が全て還付されるものではないので注意が必要です。



税理士 中村 武志

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