DREAMJOB Innovation Lab

若手士業イノベーション協会×DREAMJOB Innovation lab
「デザイナー・イラストレーターなどのクリエイターの確定申告について」

tag:

デザイナー・イラストレーターなどのクリエイターの確定申告について

普段、デザイナー・イラストレーターなどのクリエイターの方向けに勉強会やご相談を受ける機会が多くあります。職業柄、クリエイティブなお仕事をされているので、税金や法律に関しては逆に苦手意識を持たれている方が多くいるように感じられます。
また、インターネットリテラシーの高い方が多く、ご自身で調べて確定申告をされている方も多く見受けられます。

これらのお仕事はクリエイティブなお仕事のため、将来的にフリーでお仕事される方や副業で一部フリーのお仕事をされる方など、確定申告が必須となってくる傾向にあります。

そのようなデザイナー・イラストレーターなどのクリエイターの方の確定申告について、少しでも理解を深めていただければと思います。

フリーでお仕事される場合

まずは、フリーのお仕事をされるようになった場合には、税務署に「個人事業の開業届出」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出していきましょう。

「個人事業の開業届出」は、言葉の通り、個人事業の開業を知らせる届出書で、開業後、速やかに提出していきましょう。

「青色申告承認申請書」は、事業所得の申告をする際、「白色申告」と「青色申告」に分かれていきます。この届出書を提出することで、「青色申告」により申告をすることができます。

なぜ「青色申告」で申告することをおすすめするかと言いますと、青色申告特別控除という控除を受けられたり、赤字の場合に3年間繰り越しができたりなど青色申告の時に受けられる特典があります。ただし、「青色申告承認申請書」は、開業した日から2ヶ月以内に提出いかなくてはなりません。過ぎてしまった場合には、翌年の3月15日までに提出していくことで翌年から青色申告を受けることができます。

源泉所得税について

源泉所得税は、所得税の前払いとして一定の業種・内容に応じて売上から10.21%などを差し引いていきます。

クリエイターのお仕事の請求は、原稿料・デザイン料など源泉所得税の対象となる場合が多くありますので、売上から源泉所得税を差し引いて請求していくことを忘れずにしていかなくてはなりません。ただし、給与の支払をしていない個人からの請求は源泉徴収の義務が無いため、源泉所得税を差し引かないで請求していきます。

クリエイターの税金

クリエイターに関わる税金としましては、他の個人事業主と同様に所得税・住民税・個人事業税・消費税などがあります。

所得税は、一年分の所得などを翌年2月15日から3月15日までに税務署に確定申告をして、納税していきます。

住民税は、税務署に提出した確定申告書を基に市区町村から翌年5~6月頃、通知書が届き、通知書を使用して納税していきます。

個人事業税は、利益が一年間で290万円を超えると課税されます。確定申告書の数字を基に計算していきますが、文筆業などの一部の業種は個人事業税の法定業種に含まれていないため、課税されない場合もあります。

消費税は、売上が1,000万円を超えて初めて申告・納税の義務が出てまいります。今年、消費税を申告するかどうかは前々年の売上が1,000万円を超えている場合に申告していきます。確定申告と同じタイミングで申告していきますが、個人の消費税の申告期限は3月31日となります。

クリエイターの確定申告

前述の通り、クリエイターは売上の請求時に源泉所得税を差し引いて請求していきますから、所得税は前払いしていきますので、確定申告の計算する時に前払いした所得税は差し引いて計算いきます。そのため、確定申告をすると所得税の納税は少なくなるか所得税が還付されることが多くなります。

ご相談を受けると事業所得ではなく、雑所得として申告しているなど適切な申告方法で申告をしないことで所得税を多く支払っている場合もあります。青色申告を使って適切な申告方法で申告することで所得税を低く抑えることができる場合もあります。また、令和2年分から電子申告を行うことで所得税を低く抑えることができる場合もあります。

さらに、小規模企業共済やふるさと納税など所得控除をうまく活用することにより所得税を低く抑えることもできます。

それ以外にも場合によっては健康保険料・消費税の納税を抑えることができたりなどやり方によって所得税以外の税金を納税も少なくすることができる場合もありますので、一度、色々な視点から見直されてみてはいかがでしょうか。



税理士 中村 武志

【著者関連記事】
●「令和2年分確定申告の所得税改正について」
●「確定申告の納税方法について」
●「海外赴任などで非居住者となってしまった場合の確定申告について」


★よく読まれている記事★