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「離婚時の財産分与と税金の関係について」

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財産分与

コロナ禍の中、緊急事態宣言や在宅勤務などで家にいる時間が多くなり、コロナ離婚が話題となりました。
離婚をする際、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産をそれぞれの貢献度に応じて分配することを「財産分与」といい、相手方に対し財産の分与を請求することができると定められています。
この「財産分与」が行われた場合などについて、所得税・贈与税などの税金はどのような影響があるかについてみていきたいと思います。

財産分与と贈与税

離婚により相手方から財産をもらった場合には、基本的に贈与税がかかることはありません。これは、財産分与は相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算・離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき支払われたものであると考えられるからです。
しかし、分与された財産の額が婚姻期間中の夫婦の協力により得た財産の額その他の事情を考慮しても多すぎる場合、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には贈与税がかかります。

財産分与と不動産

不動産をお持ちの夫婦が離婚をする場合、不動産を売却して現金を財産分与する場合と不動産名義を相手方に財産分与する場合とが考えられます。

不動産を売却して現金を財産分与する場合、当然ながら不動産譲渡については、譲渡所得税の対象となります。ご自宅の場合は3,000万円の特別控除の適用を受けることで譲渡所得税がかからない場合も多くあります。売却した現金の財産分与については、前述の通り、基本的には贈与税はかかりません。

不動産名義を相手方に財産分与する場合は、譲渡所得税の対象となります。この場合、財産分与した時の不動産の時価が譲渡所得の収入金額となり、その金額を元に財産分与した側は譲渡所得税の計算をしていきます。ご自宅の場合は3,000万円の特別控除の適用を受けることで譲渡所得税かからない場合も多くあります。財産分与を受け取った側には譲渡所得税・贈与税などの税金はかかりませんが、将来的に不動産を売却する場合、財産分与を受けた日を元に、不動産の長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することとなります。
また、不動産を取得した際にかかる不動産取得税に関してですが、財産分与により不動産を取得した場合に財産の清算を目的としたものであるときには不動産取得税はかかりませんが、慰謝料や扶養を目的として不動産を受け取ったものであるときは不動産取得税が課税されます。

財産分与と請求期限

財産分与は離婚時に行うものですが、離婚後も一定期間は離婚した元配偶者へ財産分与を請求することができます。離婚後の財産分与の請求期限は基本的に離婚成立後2年間となります。

共有名義の不動産が残ってしまった場合

離婚成立時に財産分与を行わず、現在も共有名義の不動産が残ってしまった場合には、生活していく上では特に支障は無いと思いますが、不動産を売却する場合、将来の相続が発生した場合など問題が生じてくるケースが考えられます。
離婚した段階では不動産の名義がそのまま共有になってしまっているケースも見受けられますが、早い段階で不動産の名義を整理していくことをおすすめします。




税理士 中村 武志

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