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「消費税の総額表示の義務化」

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消費税の総額表示の義務化の背景

消費税に関して、令和元年10月1日より消費税率が8%から10%に改正されて、早1年以上の期間が経過しました。昨今、消費税に関して色々な改正が行われ、事業者はその対応に追われていることかと思います。今回、消費税が改正されるわけではありませんが、商品・サービスの価格の表示について、総額表示が義務化されることになります。

総額表示については、同一の商品・サービスについて、「税抜表示」と「税込表示」が混在していると価格の比較がしづらいといったことを踏まえて、消費税額を含む価格が一目で分かるように平成16年4月1日から税込価格で表示することが原則として義務付けられてきました。しかし、平成26年4月1日および令和元年10月1日の二度の消費税率の引き上げに関して、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保および事業者による値札の貼り替え等による事務負担を配慮する観点から、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、一定の要件の下、税込価格で表示することをしなくても良いこととされてきました。

この令和3年3月31日の期限が近づいてきましたので、令和3年4月1日以降、総額表示の義務化が表面化されていきますので、ここでは消費税の総額表示について、見ていきたいと思います。

消費税の総額表示の義務化の対象

消費税の総額表示の義務化は、事業者が不特定かつ多数の者に、あらかじめ販売する商品等の価格を表示する場合に税込価格を表示することが義務づけられるものであり、店頭における価格の表示、チラシ・新聞・テレビの広告の価格の表示、商品カタログの価格の表示、HP上での価格の表示など、どのような表示媒体で価格表示が行われるかに問わず、総額表示が義務化されます。

しかし、他の事業者に商品の販売・サービスなどを行う場合など、事業用の商品の販売・サービスなど事業者間取引の場合には、総額表示の義務化の対象とはなりません。

消費税の総額表示の具体例

消費税の総額表示について、具体例が明示されています。認められる表示方法は下記の通りとなります。

  • ①55,000円
  • ②55,000円(税込)
  • ③55,000円(税抜50,000円)
  • ④55,000円(うち消費税額等5,000円)
  • ⑤55,000円(税抜価格50,000円、消費税額等5,000円)
  • ⑥55,000円(税抜価格50,000円、消費税率10%)
  • ⑦50,000円(税込価格55,000円)

上記の表示方法について、税込価格の文字の大きさが税抜価格の文字の大きさの半分以下など誤認する可能性がある場合、税込価格の文字・行間の余白を小さくすることで誤認する可能性がある場合、税込価格の文字の色と背景色との関係で誤認する可能性がある場合などについては、総額表示として認められない場合があります。

また、総額表示に該当しない表示方法は下記の通りとなります。

  • ①50,000円(税抜)
  • ②50,000円(本体価格)
  • ③50,000円+税

消費税の総額表示の対応

令和2年10月1日以降、消費税が8%から10%に増税されたこと、軽減税率がスタートしたことで、日々の生活の中で、税込価格で表示されているところ、税抜価格で表示されているところ、10%と軽減税率の両方が表示されているところなど消費税の価格表示について色々な表示を目にすることがあります。

元々、消費税は総額表示することが原則となっていましたが、消費税率の改正に伴って純額表示が認められてきました。今回、令和3年4月1日より消費税の総額表示は義務化されていきます。

ご商売をされているとホームページ、チラシ、店頭など色々なところに価格を表示して、商売をされているかと思います。ご自身の周りを見渡してみて仕事の中で価格を表示しているものに関して、一度見直してみてはいかがでしょうか。

消費税の総額表示の義務化まで3ヶ月を切り、迅速な対応が求められます。今から令和3年4月1日向けて、ご準備を進めていきましょう。



税理士 中村 武志

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