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リーブス倶楽部×DREAMJOB Innovation Lab「遺言書の作成が必要なのはどんな人?」

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遺言書を作成しておくことによって、自分の死後の財産の承継先を指定しておくことができます。遺産の分け方についての話し合いが不要になりますので、遺言書を残しておくと、相続手続きをスムーズに進めることができます。

そのため、基本的にはどんな方であっても遺言書は残しておいた方が良いと思うのですが、その中でも、特に「遺言書はどんな人が作成すべきか?」という点についてお話ししてみたいと思います。

遺言書を作成した方が良い方、その必要の無い方、いろいろなパターンがあると思いますが、まず作成する必要のない方は、次の条件に当てはまる方です。

相続人が子一人の場合(※子に財産を遺したくない方は除く。)

遺言書とは、自分の遺産を遺す先やその配分を自分が指定しておく手続きです。
子が一人であれば、相続放棄をしない限りは子が全財産を相続しますので、遺言書の作成は不要といえるでしょう。
ただし、子に全財産を相続させるのが嫌なのであれば、遺言書を作成する必要性が生じてきます。
それでは、遺言書を作成した方が良いのはどんな方でしょう?
それは、「上記に当てはまらないすべての方」と言えます。
分かりやすくするために、いくつかに分類して考えてみましょう。

【パターン1】相続人が2人以上いる場合(※特に配偶者と兄弟が相続人になる場合)

遺言書を用意していない人が亡くなると、遺産を相続するためには相続人全員での遺産分けの話し合い(遺産分割協議)が必要になります。
原則的に、話合いがまとまって相続人全員の実印と印鑑証明書が揃わないと、金融機関も法務局(不動産相続)も相続手続きに対応してくれません。

子同士の仲が悪く話し合いが難しそうな家庭や、子がいなくて兄弟が相続人になる家庭(配偶者がいれば配偶者と自分の兄弟で協議をしなければなりません)など、話し合い自体が難しい場合もあると思います。
このような場合に、遺言書で財産の分け方を指定してあげれば、話し合いをする必要なく相続手続きが可能です。

【パターン1の2】

パターン1の派生型として、相続人が多数存在する場合、というパターンも考えられます。

最近は少なくなりましたが、昭和前半頃までは、「兄弟が10人いる」という家庭もそこまで珍しくなかったと思います。
その10人兄弟のうちの1人が亡くなり子が無かった場合、先に両親が亡くなっていれば、兄弟全員が相続人になります(配偶者がいれば、配偶者+兄弟全員)です。
さらに、先に亡くなっている兄弟がいればその子(甥、姪)が代わりに相続人になります。
例えば、被相続人が亡くなった時点で、既に兄弟のうち3人が亡くなっていて、その3人にはそれぞれ2人ずつ子(被相続人から見た甥・姪)がいるとします。
この場合は、残っている兄弟6人に加え、甥・姪の6人の計12人が相続人になります。

相続手続きを進めるには「全員の」実印・印鑑証明書が必要です。

仲が良い悪い以前の問題として、会ったことすらないということも十分考えられます。
このような場合、関係性の遠い相続人の対応としてよくあるのが、「自分は遺産は何もいらない。その代わり印鑑も押したくないから連絡してこないで欲しい」というものです。
しかし、会ったことの有無や関係性の良い悪いに関係なく、戸籍上の相続人となっている以上は、やはり全員分の印鑑が揃わないと手続きが進みません。

相続人の数が多くなればなるほど、こんなことを言い出す相続人が現れてしまう危険性が高まります。
遺言書を作成すべきパターンと言えるでしょう。

【パターン2】相続人がいない場合

法定相続人が一人もいない人も遺言書を作成すべきだと言えます。
次に当てはまる人には、相続人がいないことになります。

  • 1.子・孫がいない
  • 2.両親・祖父母が亡くなっている
  • 3.兄弟がいない(もともと一人っ子)
  • 4.兄弟がいない(もともと兄弟はいたが先に亡くなり、さらにその兄弟に子がいない)

相続人が誰もいない人が亡くなった場合、その財産は最終的には国のものになってしまいます。
(※例えば不動産の場合、所有者名義が「財務省」になります。)

遺言書で遺産を残す相手は相続人や親族である必要はありません。
まったくの他人や法人でも構いませんので、お世話になった友人や相続人ではない親族、または日本赤十字社、地方自治体や入所していた老人ホーム(の運営会社)などに財産を遺すことも可能です。

なお、「いとこ」や「はとこ」、「義理の兄弟・姉妹(配偶者の兄弟・姉妹)」は相続人ではありません。
たまに勘違いしている人がいるので注意が必要です。

もしこういった関係者に財産を遺したいのであれば、遺言書で指定しなければなりません。

ひまわり司法書士法人 代表司法書士 本松 紳司

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