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前回はおひとり様の相続問題に触れたので、今回はお二人様の老後事情を扱いたいと思います。
お二人様の現状
お二人様とは、子どもがいない夫婦のことである。結婚しても子供のいない夫婦は珍しくない。子供を望んでも子宝に恵まれない夫婦もあれば、自らの意志で子供を持たない夫婦もある。子供を持つ持たないは自由であり、他人が干渉する問題でもない。ライフスタイルを決定するのは高度で繊細な自己決定権の問題であり、何よりも尊重されなくてはならないからである(憲法13条)。とはいえ、子供を持たぬことから生ずる不都合な現実をしっかり生前に想定しておくことは必要であり、子どものいない夫婦ならではの絆の強い愛情で支えあう充実した老後を設計していきたいものです。

お二人様の問題点
老後の問題・・・重度介護状態や認知症問題
老後は、晴耕雨読で悠々自適に過ごしたい、あるいは趣味や好きなことで自己実現を図りたいとほとんどの方が思われるでしょうか。然しながら、骨折から予期しない介護生活となったり、認知症を患ったりと想定外のことが起こるのが人生。夫婦健在ならともかく、相方を失った場合には、自分一人で解決するしかありません。財産管理の問題や身の回りのこと(介護施設の入所等)を誰かに委ねないと一歩も先に進めない状態も生じます。老後の問題として精神的にも体力的にも大変な財産管理や身の回りの対策をどうするかが挙げられます
亡くなった後の問題
①財産の帰趨の問題
夫婦の一方が亡くなった場合の財産の帰趨をご存知の方は意外と少ないです。親兄弟甥姪がいなければともかく、配偶者に財産全部が相続される訳ではありません。親存命なら親に3分の1、親亡く兄弟姉妹存命なら兄弟姉妹に4分の1、兄弟姉妹が亡くなったらその子供が代わりに相続することになります。知らないと不測の事態が生じることになります。
②亡くなった後の手続きの問題
亡くなった後の葬儀や埋葬、契約の解約、最近ではデジタル情報の廃棄も含めて後始末の問題をどうするか、亡くなる前に決めておかないと周りの方を困らせる事態が生じます。
お二人様問題の対策
それでは、どのように解決していくのがよいでしょうか。
老後の問題・‥生前サポート
老後は精神的体力的に大変で、ましてや配偶者が亡くした場合は身近に相談できる人、サポートしてくれる人がいないと安心して暮らすのが困難です。身の回りのことや法律的な問題をどのように解決したらよいのか途方に暮れてしまいますね。そこで検討したい契約を挙げてみます。
①見守り契約
まず自分を見守ってもらうサポートを受けることをお勧めします。見守り契約を結び認知症のチェックや生存の確認をしてもらうことで老後の安心につながります。
②任意後見契約
認知症に備えて、信頼のできる方と任意後見契約を結び、認知症になった時に財産対策や身の回りのことをしてもらえるようにようにしておくと安心ですね。
③身元保証契約
老人ホームに入居する際や、病院に入院する際に身元保証人を求めらることが多い。必要となるときに慌てないよう身元保証人を探しておくことも安心な生活に結びつきます。
④尊厳死宣言
終末期のケアの希望や延命措置について事前に定めておくことも周りの方の精神的配慮として必要と思われます。
⑤家族信託契約
夫が代々家業を営む家である場合、夫が先に死亡すると財産は妻側の親族に承継される可能性があります。事前に夫の甥等に財産を承継させる家族信託契約を結ぶことで夫の親族に財産を引き継がせる方法もあり、事前に考えておくことが賢明です。
死後のサポート
①遺言作成
想定外の法定相続を回避するには、何といっても遺言の事前作成を推奨したい。親に遺留分の問題はあるにせよ、配偶者以外の者に財産が渡るという想定外のリスクは防ぐことができるはずである。遺言こそ自分亡き後の配偶者の生活を守る最大の防御、配偶者を安心させるためにも元気なうちに作成しておきたいものです。
②死後事務委任契約
自分亡き後の葬儀や埋葬の手配、医療費の支払い等種々の手続を任せることができる人を生前に決めておくことも安心である。親戚に迷惑をかけたくない、あるいは身内がいない等の場合は責任ある専門家に相談することをお勧めします。
最後に
子供がいない。それだけで老後が不安なわけではありません。子供がいても不安は生じます。なぜなら不安は見通しがつかないことに起因するからです。最初はエンディングノートから始めるのでもよいでしょう。自分がどんな老後を希望するのか、まさかの時にどう対処するのかをある程度の年齢になったら考えておく必要があります。一人で悩まないで信頼できる周りや私
たちのような専門家の意見も参考にしてください。きっと安心できる解決方法が見つかります。
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