2018年の統計では、日本人の平均寿命は、女性が87.32歳、男性が81.25歳となっています。平均寿命がどんどん延び、「人生100年時代」などという言葉も作られるほどなので、超高齢化社会になっていくのは確実です。
団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです(厚労省発表の推計による。)。
平均寿命が延びれば、認知症発症などによる判断能力喪失の可能性は高まりますので、認知症を発症した状態で、本人の身上監護(介護、医療など)や預貯金や不動産などの財産管理をどうするのか、ということを考えていく必要があります。
高齢になり判断能力が衰えた際に、どのような対応をすべきなのか、またそれに備えて、事前にどうような準備をすべきなのか?
また、子と同居している場合、子が遠方に住んでいる場合、そもそも子がいない場合、または頼れる親族が誰もいない場合、などその方々によって状況は様々ですし、法律や制度の制限により、支えてあげたくても十分にサポートすることが難しい、という状況も考えられます。
そこで、高齢者支援のためにどのようなサポート制度があって、どういった会社が提供しているのか、また家族でサポートするにはどのような制度を利用すればよいのか、といったことについてまとめてみました。

チェックポイント
- これからの超高齢化社会では、高齢者の身上監護(介護、医療など)・財産管理サポートがこれまで以上に必要。
- 生活状況、資産状況によってどのようなサポートが必要かはひとりひとり異なる。
- 様々な会社や専門家が提供しているサポートがあるので、情報を整頓して把握しておくことが重要。
それでは高齢者の生活をサポートするために、具体的にはどのような制度やサービスを利用すべきなのでしょうか?
分かりやすいように一覧にまとめてみましたので、ご参照ください。
【高齢者サポートのための制度・サービス一覧】
成年後見
サポートを行う者:親族、司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門家、NPO法人などが提供(※サポートされる本人を被後見人、サポートする人を後見人といいます。)。
内容:本人(被後見人)の一切の財産管理のみならず、身上監護サービスの提供(老人ホーム入所など)、本人の契約関係や納税など一切の財産的な権利・義務を担う。
メリット:権限が強く、業務範囲も多岐にわたるので、被後見人の生活全般についてサポートすることができる。
デメリット:後見人の負担が大きい。家庭裁判所の手続きなので、申立てや定期的な家庭裁判所への報告書提出などが大変。専門家が後見人になると報酬が発生するため毎月コストがかかる。
財産「管理」を行う制度なので、相続税対策や資産運用などはNG。
家族信託
サポートを行う者:子・配偶者・兄弟・甥姪など本人が指定する者。
内容:本人の財産のうち、契約によって取り決めた財産(通常は預貯金の一部と不動産)の管理・運用を委託する。取り決め後に認知症になっても最初の取り決めに従った財産管理が可能。
メリット:家族間の取り決めによって行うので、自由な財産管理ができる。家庭裁判所を関与させる必要もない。本人死亡後の資産承継(相続)についも予め決めておくことができる。取り決めをしておけば相続税対策や資産運用もOK。
デメリット:本人の判断能力が衰える前に取り決めをしておく必要がある。制度に詳しい専門家(司法書士、税理士など)が少ない。
身元保証
サポートを行う者:身元保証会社(介護会社、葬儀会社、専門家(司法書士など)法人など)。
内容:老人ホーム入所の際に身元保証人・身元引受人をお願いできる親族等がいない場合、保証料を支払って身元保証人・身元引受人になってもらう。病院への通院同行を行う場合も多い。
メリット:老人ホームは身元保証人がいないと入所できないところがほとんどなので、頼れる身内がいなくても入所できる。
デメリット:費用が高額になりがち。
見守りサービス
サポートを行う者:警備会社、郵便局、電力・ガス会社、不動産会社など。
内容:独居または老夫婦のみの世帯の安否確認を定期的に行う。会社によって具体的なサービス内容は様々。
メリット:月額数千円程度で利用できる会社が多いので、それほどコストがかからず気軽に利用できる。
デメリット:ライトなサービスなので、見守りサービスを行うだけでは財産管理については意味がない。他との組み合わせを検討すべき。
財産管理・任意後見
サポートを行う者:親族、司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門家、NPO法人など。
内容:契約にて定めた内容に従って本人の財産管理を行い(財産管理:認知症前)、判断能力を喪失した後は家庭裁判所に申立てを行い、成年後見業務を行う(任意後見:認知症発症後)。
メリット:管理を任せる相手や後見人の報酬などを予め自由に決めることができる。
デメリット:公正証書にて契約しなければならない。後見開始前の財産管理の段階では対応してくれない金融機関も多い。家庭裁判所が指定した「後見監督人」が付くため、後見人の報酬に加え、後見監督人への月々の報酬も発生する。
遺言書
サポートを行う者:司法書士・弁護士などの専門家、信託銀行、NPO法人など。
内容:死後の財産の承継先を、本人が予め指定しておく。死後の相続手続きを行う者(「遺言執行者」といいます。)を指定しておくことも可能。
メリット:将来的な相続手続きの煩雑さを省略することができ、使い方によっては遺産争いを防止できる。相続人以外の個人・法人・団体に財産を遺すことも可能。
デメリット:不明瞭な内容だと効力が認められないことも。そうならないために公正証書で作成すると費用がかかる。
死後事務委任
サポートを行う者:葬儀会社・遺品整理業者・行政書士・司法書士・NPO法人など。
内容:法務・税務以外の死後の各種手続き(葬儀の執り行い、電気等の解約、遺品整理、部屋の引き渡し)などを生前のうちに依頼しておき、本人死亡後に実行してもらう。
メリット:頼れる親族がいない場合でも、死後の事務的な後片付けを依頼できる。自由にその範囲を決めることができる(例:SNSのアカウント削除なども可能。)。
デメリット:漏れがないように依頼する範囲をしっかり決めておかないと後でトラブルになる。
まとめ
この中から一つを選んで利用するということではないので、組み合わせて利用することもあります。
家族間で家族信託と任意後見契約を交わしつつ、警備会社に見守りサービスをお願いすることもあるでしょうし、葬儀会社に死後事務委任をお願いしつつ、司法書士に遺言執行を依頼しておくということもあると思います。
気になる方は、判断能力がしっかりしている今のうちに早めに相談することをお勧めします。
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