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【大阪相続・遺言・事業承継サポートセンター×DREAMJOB Innovation Lab】コロナ禍における株式承継

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まだまだ新型コロナウイルスによる第二波を注意しつつも経済活動の再開に向けて、世の中が動き始めていますが、残念なことに老舗といわれるような企業や、新型コロナウイルスを機に経営者の高齢化も相まって、事業の存続を断念せざる負えない事態も発生してきております。今回は新型コロナウイルス要因に伴う事業承継(株式承継)を考察していきたいと思います。

株式承継という観点

新型コロナウイルスが世界で猛威をふるい、日本においても経済活動は大きくストップしてしまいました。日経平均は2月末から3月下旬にかけて大暴落し、原油も史上初のマイナス価格をつけるなど、市場は混乱に見舞われました。
外出自粛、休業要請など、経済活動のストップにより事業の存続をかけた戦いが全国で起こっているのですが、この事象を「中小企業の株式承継」という観点から考えると、今後1年間が大きなチャンスになるかもしれません。

株価が下がる要因になるかも

非上場株式は、上場企業のように活発に取引されるものではなく、換金が困難であるにも関わらず、一定の評価方法が存在し、相続税や贈与税などの対象となります。
評価方法についてはここでは細かくは触れませんが、コロナショックにより、株価評価で使用する様々な値が影響を受けております。

①日経平均株価
日経平均株価は、2月末から3月下旬にかけて大暴落しました。その後落ち着きを取り戻して徐々に値を上げ、本コラム執筆中の6月11日時点では、終値2万2千円を超える水準まで戻ってはいますが、今後発表される類似株価が押し下げられている可能性があります。又、業種によって、コロナ前に戻った、コロナ前より下落したまま、コロナ前より上がっているなど、状況は様々だと思いますので、下落している業種に属する法人は、今後株価が比較的低く出やすくなると言えるでしょう。

②利益
多くの企業が、令和2年3~5月に大きく減収・減益となってしまったかと思います。
つまり、この期間を含む決算期で株価評価をした場合、株価はそれ以前に比べて下がっているかもしれません。但し、3月決算法人の場合、令和2年3月期には、コロナの影響は大きく出ていないことが多いと思いますので、令和3年3月期の決算が株価を下がるタイミングになるかもしれません。

③純資産
「利益」と同様の考え方ですが、減収・減益の結果、もし赤字となるような場合には、純資産の減少にもなり、株価が下がる要因となります。

逆に株価が上がってしまう場合も

コロナの影響により、株価が下がる可能性はありますが、一定の場合には、逆に株価が上がってしまうことも考えられるので、注意が必要です。

①「比準要素数1の会社」に該当する場合
例えばコロナ前から赤字が続いており、配当もしていないような会社は、「比準要素数1の会社」に該当し、株価の計算方法が変わるかもしれません。直近数年間は赤字が続いていたが、過去の蓄積があり純資産は厚いような場合には、逆に株価が上がってしまう可能性もあります。

②会社規模が変わる場合
株価評価をする上での「会社規模」の判定において、売上高も一つの判定要素なのですが、売上が下がると、会社規模が下がる可能性があります。会社規模が下がると、株価評価上、純資産価額の割合が高まり、株価上昇につながるかもしれません。

焦ってはダメ

株式は、財産的価値だけでなく、議決権もあるため、経営的観点から計画的に承継していくべきものです。単に「株価が下がった」というだけでむやみに株式を動かすようなことはあってはなりません。

株式承継を考える際には、大前提として「誰に」「いつ」株式を渡すべきか、この視点が大切であることを忘れないで下さい。

ウィズアップ税理士法人 税理士 住友 泰輔

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