発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い多くの企業が活用している雇用調整助成金ですが、ほとんどの企業が適切に申請をしている一方、不正受給に関する報道も目に付くようになってきています。
助成金の不正受給をしてしまうと助成金の返還が必要になる他、ペナルティによる加算金の徴収、刑事罰、会社名の公表などその代償は大きなものになります。
また、助成金コンサルからの勧誘を受けるなど、知らない間に不正受給に関与しているケースもあります。
今回は、助成金の不正受給のパターンとペナルティについてお伝えします。
なお、ここでいう助成金とは、主に厚生労働省が管轄する「雇用関係助成金」のことを言います。
労働契約書や出勤簿や賃金台帳などを改ざんしたり、本来受給資格がないにもかかわらず偽って申請したりすることを言います。
本来であれば事前に作成されているべきものや、日々、作成が求められているものを遡って作成し、助成金の申請を行うと不正受給になると考えられます。
助成金の不正受給の手口としては様々なものが報告されていますが、代表的なものとしては次のようなものがあります。
助成金コンサルタントや助成金のコンサルティングを謳う会社、その他、社会保険労務士以外の経営コンサルタントなどが助成金申請にかかわるケース。
「助成金相談センター」や「助成金活用サポートセンター」など公的機関のような名称を使ってFAXやDM(ダイレクトメール)を送ってくるようなところは要注意。
→無資格者等の第3者が関与する助成金申請 https://goal4864.com/1101
勤怠管理や労務管理に関連するシステムを販売している会社や企業研修を提供している会社が助成金と抱き合わせで提案してくるケース。システム会社などが助成金申請を代行するのは違法。
申請書類の改ざんや虚偽記載により実際には受給要件に該当しないのに申請してしまったケース。
「事業主自身がハローワークへ書類を提出して事業主申請扱いにすれば法的に問題ない」と助成金コンサルから言われたとしても、申請書類の作成を助成金コンサルが行っていたとしたら、不正受給になると考えられます。
厚生労働省管轄の雇用関係助成金は、社会保険労務士だけが「報酬を受け取り業務として」行うことができるとされています。無資格の助成金コンサルタントはもちろん、同じ国家資格である税理士や行政書士などでも助成金の申請代行を行うことはできません。
社労士法人GOALにも時々「助成金の申請依頼をしたのが助成金コンサルだったかもしれない」「不正受給をしてしまったかもしれない」と相談が来ることがあります。
最初は「うまい話」と思っても労働局などで注意喚起がされているため、途中で不安になって連絡してくる人もいるようです。
こんな見出しでDMやFAXが届いたら要注意です。
○国から簡単にお金がもらえる
○国から返済不要で「〇百万円獲得できる!」
○社員が一人でもいれば助成金がもらえる
○助成金専門の社労士と提携しているから安心
→助成金に関する勧誘にご注意ください https://goal4864.com/1127
助成金の不正受給をしてしまうとその金額を返還するのはもちろん、不正受給した金額にペナルティ分も加算した金額を徴収されることもあります。
さらに不正受給をした会社、その役員がかかわっている関連会社なども含めて向こう5年間、助成金の申請ができなくなったり、悪質なケースと判断されれば書類送検や厚生労働省ホームページで会社名を公表されたりすることもあります。
→助成金コンサルや虚偽申請などへの対策強化とペナルティ https://goal4864.com/2664
今回は、助成金の不正受給とペナルティについてお伝えしました。
書類送検されて会社名が報道されたり、厚生労働省のホームページで公表されたりすれば、取引先はもちろん、社員との信頼関係も失われることになります。
助成金の趣旨と目的を考えれば、不正をして手に入れたお金で社員のために何かをする、ということが本末転倒とも言えます。
助成金を活用した労働環境の整備やや見直しに関するご相談、ご質問は、社会保険労務士法人GOALまでお問い合わせください。
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社会保険労務士法人GOAL 代表社員 社会保険労務士 久保田 慎平
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