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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

厚生労働省のブラック企業リスト

厚生労働省は定期的に「労働基準関係法令違反に伴う公表事案」として労働基準関係法令に違反した事業所名をホームページ上で公開しています。

この、通称「ブラック企業リスト」が2021年8月31日版に更新されました。

今回は、どのような事案が公表されているのか見ていきます。

労働基準法に関する法令違反

・労働者2名に、労働契約の締結の際に労働条件を書面を交付する等により明示しなかった
・労働者1名に、有効な36協定の締結・届出なく違法な時間外労働を行わせた
・労働者185名を解雇するに当たって解雇の予告を行わず、かつ、解雇予告手当を支払わなかった
・労働者2名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせた

36協定の未締結や限度時間を超えた違法な長時間労働などが悪質なケースとして目立ちます。

賃金の未払い

・労働者2名に、7か月間の定期賃金合計約178万円を支払わなかった
・労働者17名に、12か月間の定期賃金合計約374万円を支払わなかった
・労働者3名に、6か月間の定期賃金合計約123万円を支払わなかった
・労働者27名に対し、3か月間から4か月間の定期賃金合計約3,500万円を支払わなかった
・労働者11名に、3か月間の定期賃金合計約250万円を支払わなかった

ほぼ賃金を支払う意思がないのでは?と感じてしまうものもあります。

労働の安全衛生に関するもの

・遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなかった
・虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告書を提出した
・トラクター・ショベルに接触するおそれがある箇所に労働者を立ち入らせた
・無資格の労働者2名にフォークリフトの運転業務をさせた

労働安全衛生法違反に関するものでは、いわゆる労災隠しに関連する報告違反や安全配慮義務違反に関するものが目立ちます。

事業所名公表までのプロセス

労働基準監督署等が監督指導に入り、その後の監督調査で違法行為が認められると是正勧告を受けます。

事業主は、是正勧告を受けて指摘事項を改善した後、期日までに是正報告書を提出することを求められます。

通常であればこれで一度、監督指導は終了しますが場合によっては定期的な報告を求められたり、一定期間経過後、再度、監督指導が入ったりすることもありますが、普通であれば事業所名公表まで行くことはなく、その手間で終了します。

労働基準関係法令に違反したものとして一般に知られれば良い影響があるはずがありません。

従業員や顧客との関係性に悪影響を及ぼす他、採用活動にも影響が生じたり、ときには金融機関との取り引きに影響を与えたりもするようです。

今回は、労働基準関係法令違反に伴う公表事案について具体的なケースを見てきました。

「うちは大丈夫」「監督署の調査は来たことがない」「うちの社員は訴えたりしない」という経営者もいますが、これからもそうだと言い切れるでしょうか。

対応方法のご相談、ご質問は、社会保険労務士法人GOALまでお問い合わせください。

社会保険労務士法人GOAL 代表社員 社会保険労務士 久保田 慎平

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