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「実家を相続するときに気を付けるべきこと(遺産分割協議での注意点)」

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誰もがいつかは親を亡くし、多くの方が実家を相続します。

遺言書で親御さんがどなたに遺すか指定していない限り、ご相続人で話し合う「遺産分割協議」をして誰が相続するか決めなければなりません。その際に気を付けるべきことを3つお話しします。


①売却が前提でなければ、共有は避ける

相続人は兄弟3人、だから3分の1ずつ相続するというのは、後々厄介なことになるので共有は避けた方がいいですよとアドバイスしています。

不動産の相続はその場で終わるものではありません。売却しない限りずっと不動産は引き継いでいきます。ご長男に子供が3人、二男に子供が2人、三男に子供が2人だった場合で、ご兄弟が亡くなった場合、その子供たちに引き継がれ、いとこ同士で共有し最大で7人で持ち合うことになります。親戚関係が希薄になりがちな昨今、いとこ同士7人がずっと良好で密な関係を築いて協力して不動産を維持してくのは不可能に近いと思われます。

よって、時期をみてその後1~2年で売却して現金で分けよう!と合意されていない限り共有は避けた方がいいでしょう。

②同居していた相続人が相続するとメリットあり

同居してた相続人が相続するというのは税金上メリットが大きいです。

まず、相続税の面でのメリットが「小規模宅地等の特例」の適用が可能となります。
小規模宅地等の特例とは、被相続人と一緒に住んでいた人が相続すると、その住んでいた土地を330㎡まで80%減額する特例です。
この特例を使えば、ご自宅の土地が5000万円、建物が500万円、預貯金が2000万円、相続人3人の場合、納税額をゼロになることもあります。(適用がないと270万円ほどの納税となる)

また、同居していた相続人が相続した物件を売る場合の譲渡所得税の面でもメリットがあります。「居住用財産譲渡の3000万円控除」の適用が可能となり、譲渡所得税の負担を下げることができます。

③「長男が代表して売って他の兄弟にお金で分ける」場合は税金を考慮する

「実家は誰も住まないし、売ってお金で分けよう!」となった場合、誰か一人が代表して相続して売却する場合は注意が必要です。売買契約に全ての相続人で参加するのが面倒だからと代表者がというのは大変合理的です。

しかし、その場合注意しないといけないのは、売ったことによって課税される譲渡所得税です。②で述べたように、ご長男が同居していた場合は、特例の適用により所得税の負担が少なく済みますが、別居だった場合は長男にのみ多くの税負担がかかります。

とても不動産が高い時期にご両親が購入していて、今は値下がりしてとても利益が出ないというのであれば税金の心配はありませんが、先祖代々住んでいた土地であるとか戦後すぐに先々代が買ったものだなど取得費が分からない・または分かったとしてもとても安い場合には15.315%の所得税と5%の住民税がかかります。そのうえ、既にリタイアしていて国民健康保険に健康保険が切り替わっている場合は、翌年の保険料が高額になります。

よって、例えば6000万円で売れて、2000万ずつ兄弟に配ってしまうと、税金の分だけ代表者である長男の手取りが少なくなってしまい不公平となります。弟たちは相続で取得した財産なので所得税はかからず、そのまま2000万円が手元に残ります。

以上のように「等分に分ける」と言っても、分け方次第で落とし穴があります。後々困らないように、しっかり検討し、専門家の意見も聞きつつ遺産分割を行うことをお勧めします。




相続サポートセンター東京(税理士法人スーゴル)  資産税部 部長 川島 紀之

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