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前回のコラムよりの続きとなります。今回は具体的な例を挙げてご紹介します。

節税でアレコレやるよりもお金を残す方が大切
「税理士の仕事はお客様の払う税金を安くすることだ」
と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそうは思いません。お客様の事業を会計・税務の面からサポートし、守り、育て、共に成長していくことが本来の仕事であると思っています。
確かにベンツに限らず4年落ちの中古車をタイミングよく購入した場合、大きな費用を発生させることが出来ますので、その年の税金は減ります。ただ、購入するわけですから会社のお金も減ってしまうということをよく考える必要があります。
購入したことでお金が残らない例
例えば決算前に700万円の利益が出そうなことが分かったとします。
よし!節税だと思い、500万円の4年落ちベンツを購入しました。
しかし、当期は残り1カ月しかありませんので、購入価格の1/12しか償却できません。約41万円を償却し、残りは来期にまとめて償却することになりました。
会社のお金はいくら残るでしょうか? 順を追って計算していきましょう
700万円-500万円=200万円
これは当然ですね。500万円のベンツを購入したわけですので、その分お金は少なくなります。次に当期払う税金について計算します。
700万円-約41万円=659万円(税金を計算する基になる数字)
659万円×30%=約197万円(今期の税金)
500万円は一気に償却できなかったので、利益から約41万円だけ償却した金額に実効税率を掛け算します。すると、約197万円の税金を納める必要が出てきました。
最終的には次のようになります。
700万円-500万円-197万円=3万円
700万円もあった利益はベンツと納税で3万円しか残りません。ベンツは所謂簿外資産となりますが、仮に3年後に売却した場合、500万円からどのくらい値落ちしてしまうことでしょう…。さらに、来期も同じだけ利益が生み出せる保証はどこにもありません。
同じ例でベンツを購入しなかった場合どうなるでしょうか?
利益700万円に実効税率の30%を掛け算しますので
700万円×30%=210万円
700万円-210万円=490万円
ベンツを購入しなかったことで490万円の現金を残すことが出来ました。
これらを比較してみましょう。
4年落ちベンツを購入した場合
納税額:約197万円
会社に残るお金:3万円
4年落ちのベンツを購入しなかった場合
納税額:210万円
会社に残るお金:490万円
確かに節税は出来ています。13万円ほどですね。どちらが良いかは人によりますが、私だったら断然購入しない方を選びます。
仮に決算前ではなく期首に購入した場合はどうなるでしょう?
700万円-500万円(一気に償却できる)=200万円
200万円×30%=60万円
納税額:60万円
会社に残るお金:140万円
決算前に慌てて購入するよりも、納税額は少なくなり、会社に残るお金を増やすことも出来ました。4年落ちベンツを購入しなかった時とも比べてみましょう。
納税額の差:210万円-60万円=150万円
会社に残るお金の差:490万円-140万円=350万円
納税額の差が150万円。会社に残るお金の差が350万円。結果だけ見れば150万円の節税は出来ています。しかし、将来的にベンツを売却した時にいくらで売却出来るのかはわかりませんし、現時点での会社に残るお金は350万円もの差がついているのです。
今回のまとめ
大切なことなので何回も申し上げますが、「4年落ちベンツ」を使って節税するというプランはおススメできません。
もちろん、多くの利益を上げておられ中古のベンツ1台くらい購入したところで何の問題もない企業であれば別ですが、昨今の経済情勢から見てゆとりのある中小企業は少ないのが現実でしょう。
「節税」はとても魅力的に見える言葉ではあります。
特に中小企業経営者の多くは「納税アレルギー」をお持ちの方が多いです。一円でも少なく税金を払うことに捉われるあまり、会社のお金が減ってしまっていることに気づいていない方は非常に多く存在します。
会社を守り、従業員と家族を守っていくためには、お金を使った節税方法は真の節税とはなっていないと理解しておきましょう。至極当たり前のことですが、お金は使ったら減ります。必要のない経費を多く計上して利益を少なく見せることで、結果的に会社の体力は削られていくのです。
どんな企業であったとしても、来年も変わらず同じ利益が出せるという保証はどこにもありません。特にコロナ禍の現在で大切なことは、冒頭でもお話した通り一円でも多くのお金を会社に残し、不測の事態へ備えることであると考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。




