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NO.2の育て方⑪NO.2は出過ぎず、控えめ過ぎない



NO.2という存在は縁の下の力持ち、裏方が基本の役回りです。とはいえ、能力があることはもちろんのこと、存在感もなければ何も実行することができません。

社長を立てつつ、出過ぎず、控えめ過ぎない。一見すると矛盾しますがデキるNO.2は見事なバランス感覚でその役目を果たします。今回はそんなNO.2の立ち振る舞いについての話をしていきます。

■能書きだけでは優れたNO.2にはなれない

頭が良い人材ならどんな課題にも正解に近い答えを出せるかもしれませんが、机上でどんな立派な考えを組み立てられても、実行力や実現力がなければただの批評家になってしまいます。

組織を現実的に指揮するのは社長ではなく、NO.2の仕事ですから、本当に優れたNO.2というものは課題解決を実現してはじめて真価を発揮するものです。

■現場を動かすために必要なもの

現場のリーダーや従業員を動かすには、さまざまなプロセスが必要ですが、最終的には彼らにも汗をかいてもらわないといけません。その時に、NO.2という立場を利用して一方的に命令指示を出したところで現場は動きません。

(背景や理由、目的も手順も目標や期限の説明もなく、唐突に何をしろという号令だけの上司の下で働いたことがある人は想像がつくと思います。)

命令指揮権というのは、NO.2が社長から与えられた権限ですが、この権限を行使する際には、大袈裟に言えば会社を良くするための信念に基づいた熱意と迫力が必要です。

ここで「社長がそういう考えだからよろしく頼むよ」といったどこか他人事のような姿勢では現場も真剣に取り合ってくれません。それではただの伝書鳩だからです。

会社のこれから先のためにやらなければならないことを論理的に説明し、その実行に熱意を持って取り組む。NO.2は社長の補佐役という立場ですが、現場を指揮する「主役」とならなければなりません。

これが先ず第一に「控えめ過ぎない」という理由です。

■俺が、私がという勘違いをしない

次に、「出過ぎず」についてです。補佐役という立場を忘れて、あたかも自分が社長以上に全てを取り仕切っているという錯覚をしてしまうNO.2に対する戒めです。

現場を指揮する主役たれと言ったばかりですが、NO.2に与えられている権限は現場を動かすために便宜上のもので、立場は単なる「役割」でしかありません。

役割でしかないのにも関わらず、「自分は偉いんだ」、「権力を握っているんだ」、「自分が良いと思ったことをやればいいんだ」という勘違いをすると、最終的には社長の補佐役という務めを果たすことができなくなってしまいます。組織に二人のトップは不要だからです。

NO.2には現場を動かすには多くの労苦を伴う場合があるうえに、裏方ですから自分にスポットが当たることはありませんから、尊大になりやすい環境にあるのかもしれません。

ですが、例えば、プロスポーツであればチームの方針を決めるのは監督で、コーチは監督の考えを実行するのが役割です。コーチが監督のように振る舞い、ともすれば監督より偉い、監督の指示より自分の指示を優先させろなどと考え出したらそのチームはどうなるでしょうか。崩壊してしまいます。

NO.2は社長の考えを深く理解し、徹底して愚直に実行するのが役割ですから、社長以上に出過ぎてはいけないということです。

以前書いた「NO.2の正しい選び方」という記事でも、人に仕えることができる人材を選ぶことの重要性をお伝えしました。どんなに優れていても、本当の意味で社長に仕えることができない人材はNO.2にしてはいけませんから、もし、今のNO.2に思い違いの兆候があれば質して修正をかける必要があると思いますし、適性に難ありと感じるようであれば配置の見直しが必要です。

■まとめ

社長を立てながら、出過ぎず、控えめ過ぎない。NO.2がそのバランスを保つ必要性についてお伝えしましたが、これはなかなか難しいことでもあります。社長の性質によってはNO.2の行動の仕方を考えなければいけませんし、社長との関係性によるところもあるからです。

NO.2という役目を演じ切るためには、自分を律しながらも、堂々としていることも必要。NO.2のポジションにいる方、これからNO.2を目指す方、そしてNO.2を育てたい社長に覚えておいて頂きたいテーマです。

最後までお読みいただきありがとうございます。



株式会社コナトゥスマネジメント 代表  平原 孝之


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