発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab
コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。
この記事では一般の方へ向けた金融・税務に役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。
国税庁の調査によると2022年に相続税が課税された人の割合は9.6%であり、被相続人一人当たりの納税額は1855万円だそうです。
約10%を多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、もし納税が必要となった場合は相続があったことを知った時から10か月以内に申告する必要がありますので、自身が納税対象となるか否か? は事前に調べておくべきと言えるでしょう。
しかし、親世代へ「財産っていくらあるの?」とはなかなか聞けないものです。そこで今回のコラムでは『事前に親から財産を聞けなくても相続税の納税対象か計算する方法』と題し、いくつかの手段を解説します。
ストレートに聞ける方はそれを元に計算すればよいですが、「なかなか親には聞けない…」という方はぜひ今回の記事を参考にして下さい。
実家の土地や建物の価値を算出したことはあるでしょうか? 現預金や有価証券とは異なり、不動産に関していえば相続税を計算する基になる金額(相続税評価額)は意外と簡単に算出できます。
もし、実家に立ち寄った際に固定資産税の課税明細書を見ることが出来れば、資産の価格を0.7で割り、0.8を掛ければ相続税評価額は算出可能です。課税明細書が見られない場合は「一般財団法人資産評価システム研究センター」が運営する全国地価マップからも面積さえわかれば算出が可能です。
従って、実家に関してだけ言えばネットだけでも算出することは十分可能ということになります。では、実家以外の不動産についてはどのように把握したらよいでしょう?
既述の固定資産税課税明細書を見ることが出来れば実家以外の不動産も掲載されていますので、簡単に見つけることが可能です。しかし、課税明細書を見られない場合は親世代にこう聞くと良いでしょう。
「うちの田んぼ(畑)って誰に管理頼んでるの?」
この聞き方をすると教えてくれるケースは多いです。また、相続登記が義務化になったことを教えてあげることによって、どこに不動産を所有しているか調べることも可能です。
国税庁の令和3年統計によると相続財産の約3割が土地、同じく約3割が現預金であるそうです。それだけ親世代は“貯金”を頑張ってきたということになりますが、これを調べる方法は現在のところありません。唯一、予約型代理人という制度を申し込む際に預金額が判明する可能性もありますが、あくまで可能性があるというだけですので確実に親世代の預金額を把握するということは難しいことに変わり有りません。
そこで、次の手段として考えられるのが「予想」をするということになります。
上図は相続税の速算票ですが、基礎控除として3000万円+法定相続人の数×600万円というものがあります。
例えば被相続人が自身を含め3人いた場合は4800万円までの相続財産であれば税金は発生しません。先に求めた不動産評価額が仮に2000万円だとすると、現預金が2800万円以上あった場合相続税が発生することになります。
これまでの生活ぶりや親世代の考え方などから預金額を予測することになりますが、「大体○○万円以上あったら納税が必要そう」と“予想”しておくことが可能になります。
散々お話ししてきましたが、親世代に財産を聞けるのであれば聞いた方が相続対策は格段に立てやすくなります。
そもそも相続対策は親世代の協力なしには効果的なものが中々ありませんので、日ごろの親子関係がモノを言うという結論にはなってしまいます。
しかし、例え関係性が悪くなくても離れて暮らしており連絡も頻繁には取れないというケースは大いに存在します。そういった場合は、相続に備えて実家の評価だけでも手軽に行ってみてはいかがでしょうか?
相続財産の把握にお困りの場合はお気軽に当事務所までご相談ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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