発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab
マイナス金利解除をきっかけに住宅ローンを考える
コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。
この記事では一般の方へ向けた金融・税務に役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。
3月の日銀金融政策決定会合にてマイナス金利の解除が決まり、日本は金利の無い世界から金利のある世界へ戻ろうとしています。テレビなどでも大きく報道されていましたのでご存知の方も多いと思いますが、マイナス金利解除によって私たちの生活はどんな影響を受けるでしょうか?恐らく一般の方が一番大きな影響を受けるのは住宅ローンの関する部分ではないかと考えます。
そこで今回のコラムでは『マイナス金利解除をきっかけに住宅ローンを考える』と題して、住宅ローンの見直しとこれからの金利動向について解説していきます。これから家を買おうとしている方や、住宅ローン返済中の方は要注目ですのでぜひ最後までお付き合いください。
マイナス金利解除とは日銀当座預金の金利をマイナスにすることを辞めた状態にしたということになります。日銀は銀行の銀行ですので、皆さんが各金融機関に預けたお金の一部は日銀にも預けられることになります。各金融機関が日銀に預けているお金の一部は3月までマイナスの金利を掛けられていました。
金融機関としては預けておいても増えるどころかマイナスになってしまう訳ですので、日銀ではなく一般消費者や法人に貸し付けした方が儲かるわけです。このようにして市場に出回るお金の量を増やそうという狙いがマイナス金利政策にはあったわけです。
それを解除したということはどうなるか? ですが、市場に出回るお金の量は依然と比べ減少します。また、マイナス金利が導入されていた短期金利は住宅ローン変動金利が指標とする数字にもなりますので、近い将来変動金利の住宅ローンは金利が上昇するかもしれません。
では、変動金利で借りている方やこれから変動金利で借りようとしている方はどのように対処すればよいでしょうか。
これから住宅ローンを変動で組もうという方は、金利が上がったとしても最後まで返済できるかを専門家にシミュレーションしてもらうと良いでしょう。具体的にはライフプランを作成することで、大まかな未来予想は建てられます。
しかし、金利がいつどのように上がるか? は専門家でも予想できませんので、不安な方はフラット35などの全期間固定金利で住宅ローンを組まれることをお勧めします。
まず、全期間固定金利の方は3%以上で借りていない限り見直す必要はありません。問題は変動金利と固定期間選択型で借りている方々です。
変動金利はその名の通り「変動」する可能性のある商品ですので、新規購入の方同様“金利が上がっても返せるか?”をシミュレーションする必要があると言えるでしょう。
次に固定期間選択型の方は固定期間が終了した後、変動金利に変更となる商品も多くありますので、自分のローンは何年まで固定なのか? 固定期間が終わった後はどうなるか? を調べ、もし変動に変わるようであれば既述の通りシミュレーションの必要があります。
「変動金利が上がったとしても返済できるか?」をシミュレーションし、返済が厳しいという答えが出た場合は全期間固定金利への借り換えも視野に入れるべきでしょう。
しかし、“今”の金利だけを見てしまうと、変動と全期間固定の金利差は非常に大きいと言えます。そのため、借り換えたとしても毎月の返済額が上がる可能性は高く、万一金利が上がらなかった場合は損してしまうことになります。全期間固定金利への借り換えによる返済額の増加を「金利変動リスクに対する保険代」と割り切れるか否か? 変動金利ユーザーの方はどうお考えでしょうか。
また、金利変動リスクへの保険は全期間固定金利への借り換え以外に、資産運用のスタートでもカヴァーすることは可能です。借りるお金だけを変動にするのではなく、貯めるお金も変動にしてこそリスクヘッジと言えるからです。
いずれにせよ、家計の今後を左右する重大な決断ですので、信頼できるファイナンシャルプランナーへ相談しつつ結論を出していただければと思います。
早くも一部の金融機関では短期プライムレートを引き上げたところも登場しています。
未来の金利は誰にもわかりませんし、誰も責任を取ってくれません。もし、金利が上がっても返済できるのか? 家に住み続けられるのか? 今のうちに診断し家族と財産を守る手立てを考えていただければ幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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