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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 建設・土木業界の新3K 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

皆さんは「3K」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 汚い・きつい・危険の頭文字を取り3Kと呼ばれていますが、不名誉なことに建設・土木業界も長年3Kの業界だと呼ばれてきました。

それ故に若手職人の確保が難しく、2024年問題も重なることからマイナスイメージの払しょくは喫緊の課題と言えます。
そこで国土交通省は『新3Kを実現するための直轄工事における取組』という政策を発表しました。今回のコラムでは上記をベースに新3Kとは何か、新3Kを実現するにはどうしたらよいのかについて解説していきます。人手不足や若手不足に悩む事業者の方は是非ご覧ください。

新3Kとは?

※国土交通省HPより抜粋(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001368311.pdf)

新しい3Kはマイナスの言葉ではなく、「給与」「休暇」「希望」と働きやすい前向きな職場環境を思わせるワードが選ばれています。休みが取れて、給与が良くて、将来像を描きやすいとなれば若者の注目を集めることになるでしょうし、業界全体も活気づくはずです。
もちろん一朝一夕に実現できることではありませんが、持続可能な会社・そして業界としていくために出来ることから始めると良いでしょう。

給与

いきなり給与を上げろと言われても財源の確保に苦労するケースは多く存在するでしょう。そこで適正な工事費を確保するために、「労務費見積もり尊重宣言」というものが一般社団法人日本建設業連合会より発表されています。
これは“適切な”労務賃金を明示した見積書の提出を要請したものです。一次下請けに見積もりを依頼する段階から適切な労務費での見積もり明示をお願いすることになりますので、業界全体としての賃上げ期待も高まっています。

上記を踏まえ、関東地方整備局発注の一般土木工事において、総合評価方式や工事成績評定にインセンティブを付与するモデル工事が取り入れられています。総合評価方式では、以下の2つを満たした場合は1点加点となりますので参考にしてください。

1.「労務費見積り尊重宣言」の確認

発注者は、入札契約手続きの審査基準日までに、入札・契約参加企業が「労務費見積り尊重宣言」を決定・公表した事実を確認

2.労務費(労務賃金)を内訳明示する旨を記した誓約書の確認

発注者は、入札・契約手続き参加企業から提出された誓約書を確認

休暇

いわゆる2024年問題により、建設・土木業界も労働時間管理に厳しくなり、これまでの実質無制限から時間外労働は年間720時間以内とするなど大幅な規制が設けられました。

また、週休2日制の導入も官公庁発注の工事では一部取り入れられており、「雨が降らないと休みにならない」という現象は改善してきています。さらに、発注者側に無理な工期を指定させないよう国土交通省としても「適正な工期設定指針」というものを発表。工事の種類ごとに準備期間や施工日数、天候による無稼働日の確保などを考慮するよう示されています。

以上のことから「休暇」は以前に比べ取りやすくなっていることは事実です。しかし、事業者によって幅もありますので、業界基準の統一がさらに進むことを期待します。

希望

長く安心して働ける環境というものはとても大切です。何を持って“あんしん”と取るかは人それぞれですが、どんなに給与が良くても効率の悪い現場や危険な現場が続いていては“あんしん”して働けるとは言えないでしょう。

そこで、生産性を向上し安全に業務を行うために、業界が進めていることの一つがi-Constructionです。以前にも当コラムで紹介したことがありますが、ドローンなどのICTを全面的に導入して業界全体の生産性を上げる取り組みです。

ドローンに限らず勤怠管理や完成検査工程などにもICTは導入されてきていますので、今後この流れはますます加速していくことでしょう。結果的に適正な工期実現やコスト削減にも繋がりますので、既述の給与・休暇とも密接に関わってくるのです。

また、建設・土木業界で働くということの「誇り」や「やりがい」を現場の職人が混じられるようになる取り組みも重要です。

今回のまとめ

新3Kを通じて建設業界は若年層の魅力ある職場として生まれ変わることを目指しています。これにより、業界全体の活性化と持続可能な成長が期待されます。
新3Kの取り組みが成功することで、建設業界はより多くの人々にとって働きやすい環境となり、将来的な人材不足の解消につながるでしょう。今後はこれらの取り組みをさらに広げ、業界全体での意識改革を進めることが求められています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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