DREAMJOB Innovation Lab

これからを創造するお役立ち情報 イノベーションラボNews

発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 入学祝は贈与税の課税対象? 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では一般の方へ向けた金融・税務に役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。

間もなく新しい年度がスタートしますが、進学や就職でお祝いをいただく方もいらっしゃることでしょう。また、新生活に先立ち親から家電購入費などを援助してもらうこともあるかもしれません。

これら、お祝いや生活費の援助はよくある話ですが『贈与』にあたる可能性があることを皆さんはご存知でしょうか? そこで今回のコラムでは「入学祝は贈与税の課税対象?」と題し、一般生活の中での贈与について基本を取り上げてみたいと思います。
新年度に何かお祝いを贈る方もいただく方もぜひご覧いただければ幸いです。

贈与の基本

そもそもの話ですが、贈与税は頂いた方が払う税金です。ただし、個人からもらった場合のみ課税されますので、法人から何かを頂いた場合は所得税になります。
また、贈与と言えば年間110万円までは非課税という話をご存知の方は多くいらっしゃることでしょう。これは110万円の控除があるからなのですが、例えば500万円を一年間にもらった人がいたとします。すると贈与税は次のように計算します。

500万円-110万円=390万円←これが税金を計算する基になる金額です。
仮に上記が親からの贈与であった場合、390万円の10%から10万円を控除した29万円が納めるべき贈与税となります。

この29万円を何とか節税したいと考えるならば贈与税の基準は1年間ですので、例えば500万円を5年に分け毎年贈与契約書を作成し、適切な贈与が行われたとしたら贈与税は発生しません。

つまり、その人個人が元旦から大晦日の一年間にどれだけの財産をもらったか? で決まってくるのが贈与税という事になります。

贈与税がかからない財産

冒頭お話しした生活費の援助を親からもらった場合は基本的に贈与税の課税対象ではありません。ただし、生活するうえで通常必要とされる範囲を逸脱したものは贈与とみなされることもありますので注意が必要です。

また、援助してもらった生活費を生活のためではなく、投資や貯蓄に回した場合も贈与税の対象となる可能性がございますので併せて注意しておきたいところです。

上記以外にも贈与税がかからない財産として次のようなものが挙げられます。

宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの

地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの

特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

国内に居住する特定障害者(特別障害者または特別障害者以外で精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるなどその他の精神に障害がある者として一定の要件に当てはまる人)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を取得した場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社などの営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までの金額に相当する部分については贈与税がかかりません。

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産

国税庁HPから抜粋して引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

今回のケースで言うと

“個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの”

上記が入学祝いや就職祝いに該当します。「社会通念上相当と認められる」というのは難しい判断になりますが、例えば入学祝にスーツを送るというのは認められるでしょう。反対に入学祝にロレックスを送るというのは認められない可能性が高いと言えます。

いずれの場合でも110万円という基礎控除がありますが、心配な場合は税理士に相談してから贈ると良いでしょう。

今回のまとめ

「社会通念上」という判断基準は贈与税に限らず税金ではよく目にする基準です。どこまでだったら良いか? という線引きは非常に難しいですが、気持ちのこもった贈り物がかえって相手の迷惑になってしまっては意味がありませんので、高価な贈り物をする際にはご注意いただければと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

【著者関連記事】
●「生命保険と相続税」
●「マーケティンク゛基礎知識関係性のマトリクス」

当該コラムは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の協力のもとに、DREAMJOB Innovation Lab(運営:株式会社DREAMJOB)が運営管理しております。