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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 建設・土木業の事業承継② 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

先月から事業承継について解説しておりますが、親族内に後継ぎがいない…というケースも存在します。その場合は親族外へ後継者を求めることになりますが、親族ではありませんので事業承継に求められる準備も大きく変わってきます。

今月は「建設・土木業の親族外事業承継」にどのような方法があるか?注意点は何があるか?といった基本的なことを解説してまいりますので、親族外に会社を任せようと考えている経営者はぜひチェックしていただけますと幸いです。

他人だからこその苦労

親族外への承継となると社内の従業員や役員又は社外に人材を求めることになります。他方、会社そのものを買い取ってもらうM&Aも存在しますので、どの手段を取るか検討することから始まります。

検討の結果、適切な人材がいた場合であっても親族ではありませんので経営理念のすり合わせや、仕事の進め方を何回も話し合い双方が納得するのに多くの時間を要するかもしれません。

また、後継者候補が株式を取得しようとした場合に資金調達でも大きな壁が立ちはだかります。一般的に優良な会社であればあるほど株の評価は高くなりますので、後継者候補は自己資金がない場合、借金をしてその株を取得することになります。そのため、「個人で借金をしてまで継ぎたくない」と辞退されてしまうリスクもあるのです。

従って、会社そのもののかじ取りにプラスして資金調達の問題も発生することから、親族外の人材への承継は難しいと言わざるを得ません。そうなると会社をどうしたらよいか? ということになりますが、次にご紹介するM&Aに頼ることになるでしょう。

M&Aとは?

M&Aとは会社そのものを売却することですが、事業譲渡又は株式譲渡によって行われます。一般的には発行済みの株式をすべて第三者へ売却する株式譲渡によって行われ経営権を移転させます。

譲渡する相手をどう探すか? という問題がありますが、多くの場合仲介会社などを通して広い範囲から探しますので、現社長の周りに適切な後継者がいない場合でも他社へ事業をスムーズに引き継ぐことが可能になります。また、自社株を売却することになりますので創業者として大きな利益を獲得し、セカンドライフを楽しむといったことも可能になるかもしれません。

一方M&Aのデメリットとして相手先が中々見つからないというものがあります。しかし、これに関していえば既述の後継者候補を自ら探す場合にも同じことが言えますので、大きなデメリットとは言えないかもしれません。

一番のデメリットはやはり雇用の継続になると考えます。雇用を継続する前提で売却することが多いですが、経営者が変われば社風も変わるものですので、何となく居づらくなり退職というケースも考えられます。また、M&A発表のタイミングで反感を持った幹部社員の離職というケースもあり得ます。この場合、M&Aの成否にも関わってくることになりますので、発表のタイミングと順番は熟慮する必要があると言えるでしょう。

どう承継するか?

親族外で適切な後継者を探し承継するか、M&Aで広く相手を探すか?
どちらが正解というものはなく、自社にとってどちらがよいかを専門家も交えたうえで検討することが事業承継のスタートとなります。

その過程で現在の経営状況を分析し、自社の強み・弱みを把握、弱みすなわちリスクがある場合はどうしたらヘッジできるか? を検討しプランを立て実行して行くということが大切です。親族外承継・M&Aいずれの場合でも、会社自体に魅力が無ければだれも引き継ぎたいと思いませんし、経営状況が分からなければこれも同様です。

また、キャッシュフローが適切に回っているか? も同タイミングで確認すると良いでしょう。キャッシュフローの重要性には本コラムでも過去に何回か解説しておりますので、ぜひご覧ください。

今回のまとめ

親族内承継・親族外承継・M&Aどれを選択した場合でも従業員への配慮を忘れてはなりません。経営者が交代した場合、以前と全く同じ社風という訳にはどうしても行きません。不満を持つ従業員も当然現れるでしょうし、取引先との関係性も変わるかもしれません。

事業承継は人の信頼関係も一緒に承継することこそが重要ですので、社内外問わずケアとコミュニケーションを大切にし、スムーズな承継となるよう心掛けましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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