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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 相続発生直後にやってはダメなこと 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では一般の方へ向けた金融・税務に役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。

コロナが5類に移行となって初めて迎える年末年始です。帰省される方も多くいらっしゃると思いますが、普段なかなか会えない親世代・子世代だからこそ、リアルで会った時に話しておきたいことはたくさんあるはずです。
中でも相続に関する話題は話しておきたいことの上位に位置すると思います。なかなか言い出せないデリケートな話題であることも確かですが、今の内から世代間それぞれの思いを確認しておくことで適切な対策もとれますし、何より争いの芽を摘むことにも繋がります。

しかし、きちんと対策しているにもかかわらず、相続発生直後に気が動転し思いもかけないNG行動を取ってしまう方は多くいらっしゃいます。相続対策だけではなく、やってしまいがちな相続NG行為についてもぜひ知っておいていただきたいと思いますので、今月のコラムでは『相続発生直後やってはダメな3つの行動』と題して、それぞれの行動と、なぜダメなのか? について解説してまいります。

ぜひ帰省した際にはご家族で確認しておいていただければ幸いです。

故人の口座からあらかじめ現金を下ろしておく

亡くなった方の口座が凍結されることは多くの方がご存知だと思います。だからこそ、「亡くなる前に下ろしておこう」と考える方は結構多く、○○さんもやったって言ってた…など、人から聞いたこともあるという方もいらっしゃることでしょう。
この行為は一つ目のNGです。なぜかというと他の相続人がいる場合に、預金を着服したなどと言うあらぬ疑いをかけられるかもしれないからです。

さらに、故人の財産を使うという事は「単純承認」として成立する可能性が高くなるため、相続放棄が難しくなってしまいます。もし、借金を多く残して亡くなった場合などは後々トラブルに繋がりかねませんので、勝手に下ろすという行動はNGの筆頭に挙げられます。

しかし、緊急で支払いが必要になった場合なども可能性としてはありますので、その際は最低限領収書を保管して何に使ったかが分かるようにしておくことが無難です。

また、上記の通り単純承認が成立する可能性も高くなりますが、民法改正により遺産分割協議前であっても一定金額を上限とした預金仮払い制度が誕生しています。

・(上限を150万円として)相続開始時の預金額×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分

上記の計算式の金額が仮払い可能となります。

名義を変えたり立て替えたりもNG

既述の「単純承認」はプラス・マイナスそれぞれの財産を受け継ぐという事ですが、マイナスの財産が多い場合に相続放棄や限定承認という選択肢も存在します。

しかし、故人の財産を使ったり名義変更したりした場合は、単純承認とみなされ後々相続放棄を行おうと思っても出来ないケースがあります。

主なケースとしては次の通りです。
・預金の消費、名変、解約
・不動産の名変、売却
・故人の債務を支払う
・遺産の譲渡、処分
・遺産分割協議への参加

これらを行う場合は、十分注意して行うことをお勧めします。

「何かよくわからないけど請求書来てるからとりあえず払っておくか…」という行為一つで単純承認が認められる可能性もあるという事ですので、気を付けていただければと思います。

通常の相続の場合であっても亡くなった方の財産は遺産分割協議が完了するまで手を付けず、また相続放棄や限定承認する場合は徹底して手を付けない。ということが安全と言えますね。

遺言書は勝手に開けない

自筆証書遺言が自宅で見つかった場合に該当することですが、家庭裁判所で検認を受けてから開封する必要があるため、勝手に開封は絶対NGです。また、あまり一般的ではありませんが秘密証書遺言も同様に検認が必要です。

相続法の改正によって、自筆証書遺言を法務局で預かってくれる制度が誕生しましたが、その場合は検認不要となります。同様に公正証書遺言も検認は不要です。

今回のまとめ

しっかり対策していたのになんで…ということはたまにあります。
久しぶりにリアルで会う親世代や子世代と相続の話はなかなか難しいかもしれませんが、いい機会でもありますので、ぜひしっかりと話し合うことをお勧めいたします。

そして、万一の際には当コラムを思い出していただき、NG行動をとることの無いようにしていただければ幸いです。

本年も当コラムをお読みいただきありがとうございました。
良い年をお迎えください。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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