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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 2025年の崖をどうするか?~建設・土木業の場合~ 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

2023年も間もなく終わりを迎えますが、建設・土木業の皆さんにとってどんな年でしたでしょうか?
業界的には2024年問題に対応するために苦労されていた事業者さんが多く見受けられましたが、2024年問題が解決したとしても「2025年の崖」という新たな問題があることをご存知でしたでしょうか。

2025年の崖とは経済産業省が指摘したIT領域における問題点です。初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんが、建設業界だけではなくあらゆる業種で問題になってくる可能性を秘めています。

そこで今月のコラムでは『2025年の崖をどうするか?』と題し、建設・土木業界でどのように本問題へ取り組むか? という点を解説してまいります。ぜひ最後までお付き合いください。

2025年の崖とは何か?

※経済産業省HPより抜粋
( https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf )

上図は2025年の崖について経産省が解説した資料です。少々分かりづらいので要約すると、2025年までにIT関係の人材不足や社内の古いシステムのサポート終了などによって、年間最大で12兆円の経済損失が発生すると危惧されています。また、これら2025年の崖はDX推進の足かせとなって日本企業は国際競争力を失いかねないとも言われています。

さらに、建設・土木業界は2024年問題も抱えていますので、人手不足解消・システムの刷新・それらに対応するための資金と時間も割かなければなりませんので、他業種と比べ大きな負担が発生する可能性があるのです。

建設・土木業はどう立ち向かうか?

まず取り組むべき課題として人手不足が存在します。さらに、2024年4月から特別条項付き36協定を結んだ場合は、休日出勤を含め月100時間未満・年間720時間以内が時間外労働の上限時間となります。

以前のような際限なく働けるという状況は一変しますので、プライベートを充実させたいと考えている若い世代を業界に呼び込むチャンスではないかと個人的には考えます。

しかし、建設・土木業は一般的に「3K」のイメージが強く、若者に人気がある業界とは言えません。そこで、人手不足解消と並行して生産性の効率化も行っていかなくてはなりません。

生産性向上とDX

2025年の崖もうひとつの問題として古い社内システムの更新が上げられます。これはPC内のシステムもそうですが、労働環境にも言えるのではないでしょうか?

「見て覚える」「勘を鍛える」的な仕事は多く存在するとは思いますが、マニュアル化することで効率よく若手へ技術を伝えることが可能です。また、ウェアラブルカメラを装着することで動画教材を制作することも可能ですので、今まで以上に仕事の可視化を進ませることが出来るでしょう。

ベテランスタッフの経験を効率よく伝えることが2025年の崖対策の基本と言えますので、上記のような仕事の可視化は積極的に進めて行くべきと言えます。

資金には補助金を

各種DXを推進していく中でどうしても資金の問題は発生します。そこは、借り入れも視野に入れることをお勧めしますが、補助金や助成金の活用も積極的に狙っていくと良いでしょう。

例えば、IT導入補助金や働き方改革推進支援助成金などが上げられます。資金使途によっては小規模事業者持続化補助金も可能性としてありますので、何にいくらかけるか? を計画し、補助金・助成金の申請を行っていきましょう。なお、補助金・助成金はそれぞれ税理士や社労士へ相談されることをお勧めいたします。

今回のまとめ

本年の建設・土木業の方向けコラムでは業務の効率化や従業員の守り方、マーケティングについて解説させていただきました。いずれも2024年問題、2025年の崖へ対策できることですので、よろしければ過去コラムも是非ご一読ください。

今回取り上げた2025年の崖は、システム刷新関連の問題とは言え、中小の建設・土木業は最終的に人の問題になってくると考えます。「○○さんが言うのだからやってみよう」という動きはよくあるでしょうし、何より旗振り役がリーダーシップを発揮することで社内は団結します。

ぜひ、2024年はこれまで以上に従業員を守り、長く働きたいと思える会社作りについて経営層は心血を注いでいただければと思います。その際に当コラムが参考となれば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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