DREAMJOB Innovation Lab

これからを創造するお役立ち情報 イノベーションラボNews

発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 従業員の心身を守る~ワンオペの弊害とは? 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では中小企業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

皆さんはお正月休みの予定はお決まりでしょうか?最近ではあまり見かけなくなりましたが、一昔前では百貨店の福袋に長蛇の列が出来たり、人気ブランドショップの福袋を求める人でパニックが発生したりなど、元旦からの初売りはある種の風物詩となっておりましたが、近年の人手不足や働き方改革の影響で小売店や飲食店であっても年末年始の休みを取る会社が増えています。

他方、「ワンオペ」などと言われるような過酷な労働環境も存在しています。一人ですべての業務をこなさなければなりませんので、顧客の少ない深夜帯を中心に「ワンオペ」の勤務体制を取る店舗や会社は多くあります。

そこで今年最後のコラムでは『従業員の心身を守る~ワンオペの弊害とは?~』というタイトルでお届けしようと思っております。ただでさえ人手不足のところ、従業員に辞められてしまっては事業継続に大きな危険信号が灯ります。また、役員の責任を問われるケースも存在しますので、2024年はぜひ今以上に従業員の心身の健康へ気を配ってみてはいかがでしょうか。

会社は従業員を守る義務がある

安全配慮義務という言葉をご存知でしょうか? 会社には「労働者の生命・身体及び健康
を危険から保護するように配慮すべき」という安全配慮義務が労働法によって課せられています。

これは近年急速な普及を見せたテレワークにも適用されますし、既述のワンオペ業務にも等しく適用されます。逆に言えば安全配慮義務を果たしていればワンオペでも問題ないと言えますが、実態は果たせていない会社も多く存在します。

例えば休憩時間を満足に取得できないというケースが存在します。一人しかスタッフはいませんので、来店客などが増え休む時間がないという可能性は大いにあることでしょう。6時間以上の勤務をする場合は最低45分以上の休憩時間を取らせるという労働基準法での決まりがありますので、同法に違反している状況となってしまうのです。

法令違反リスクの他にもワンオペのリスクはまだまだ存在します。

ワンオペの弊害とは?

まず上げられるのは防犯上の問題です。強盗や窃盗のリスクは複数人のスタッフが勤務する店舗や会社より上昇しますし、あまり考えたくはないですが周りの目がない分スタッフによる不正もやりやすい状況であることは事実です。
色々な意味で“隙を作らない”ということは外部にも内部にも牽制に繋がりますので、防犯上の問題はワンオペ弊害の一つと言ってよいでしょう。

労使双方のワンオペ弊害

まず経営側のワンオペ弊害として離職率の増加や従業員教育のコスト増も上げられます。ワンオペ業務は心身ともに負荷のかかる状態が続きますので、離職率は増加する傾向にあります。すると、採用経費は一般的な労働者と比べ多く発生してしまいます。

また、すべての業務を一人でこなせるということは、そこまでの知識・技量を持つ状態にスタッフを育成する必要もあります。これは教育費のコスト増に繋がりますし、もしベテランスタッフが辞めてしまったらまた一から採用計画を立てなければなりません。

さらに、既述の安全配慮義務に違反していた場合には不法行為責任、使用者責任に役員が問われる可能性も大いに存在します。会社イメージの低下や損害賠償の支払いなど、事業継続にとって良い事は何もありませんので、ワンオペで業務を回さざるを得ない場合は細心の注意が必要と言えるでしょう。

他方、従業員側のワンオペ弊害は心身の故障リスク増加が何よりも大きな問題と言えます。心身ともに健康であれば多少の無理も出来ますが、ワンオペによって崩してしまった体調は回復するのに時間のかかるケースもあるのです。
深夜帯を中心とした給与が魅力という点を重視して働いている方もおられますが、ワンオペの給与が高いということはそれなりのリスクも存在するのだということを忘れずにいていただければと思います。

従業員をどう守って行けばよいか?

ワンオペに限らず従業員を守ることが出来なければ最悪会社は倒産してしまいます。また、テレワークも形を変えたワンオペと言えるのかもしれません。

確かに効率を考えればワンオペは理にかなった働き方です。テレワークも通勤時間という無駄を考えれば同様です。しかし、ちょっとしたことや何かあった時に頼れる仲間や先輩、上司がリアルで身近にいることの心強さはもっと重視されても良いと個人的には考えます。

従業員を守って行くためには、ベースアップ・福利厚生の充実・休日の増加など実利を伴った還元も効果的ですが、上記のような「安心」して働ける環境づくりも大いに効果があると言えるでしょう。

今回のまとめ

米国のIT企業を中心にオフィス回帰の流れが強まっているようですが、やはりリアルの人間に頼りたいということも背景にあるのではないでしょうか。

本コラムでも従業員の労働環境がいかに大切か? は度々取り上げているテーマですが、社長一人が良かれと思ったやったことでも従業員からは却って不満の声が出てしまうこともあります。まずは屈託のないコミュニケーションから始め、従業員が会社に何を望んでいるかを聞いてみてはいかがでしょうか? 

ぜひ年末の仕事納めで従業員に聞いて頂き、来年から徐々に取り入れて行っていただければ幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

【著者関連記事】
●「生命保険と相続税」
●「マーケティンク゛基礎知識関係性のマトリクス」

当該コラムは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の協力のもとに、DREAMJOB Innovation Lab(運営:株式会社DREAMJOB)が運営管理しております。