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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 知っておきたい年末調整の基本 」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では中小企業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

総務・人事担当者の方は年末調整の処理に追われる時期がやって来ました。我々税理士へ依頼していたとしても、社内的な締め切りに追われることも多く、年末の大仕事と言えるかもしれません。

ところで、皆さんは年末調整の基本を理解していらっしゃるでしょうか?必要な人、不要な人、そもそもなぜ年末調整を行うのか?などなど、上げて行けばキリがありませんが、「なぜ行うのか?」を正しく理解して取り組めば、社内の各種書類提出スピードもアップするのではないかと考えます。

そこで今月のコラムでは『知っておきたい年末調整の基本』と題し、基本から解説してまいります。総務・人事担当スタッフではなくとも、知っておいて損のない知識ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

年末調整はなぜ必要?

そもそも年末調整はなぜ必要なのでしょうか?
これは毎月のお給料やボーナスから源泉徴収した所得税と、本来その人が納めるべき1年間の所得税に過不足が生じるためそれを清算する必要があります。その清算手続きが年末調整なのですが、なぜ過不足が生じてしまうのか? という訳は源泉徴収税額表を見ると分かります。

税額表を見ると「月〇万円~〇万円の人は○○円控除」と控除額を算出する元になる標準報酬月額に幅を持たせているため、どうしても人によって差額が発生してしまうのです。また、生命保険料控除や地震保険料控除、扶養控除等は源泉徴収に反映されていません。

要するに、毎月のお給料やボーナスなどから源泉徴収される税額については、あくまで1年間の見込みの所得により決まるため、生命保険料控除等は加味しないようになっています。そんな年末調整ですが、すべての従業員に必要という訳ではありません。要・不要についても見て行きましょう。

年末調整が必要な人

年末調整が必要な人は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出している方です。多くのケースでは現在在籍しているすべての正社員が対象となりますが、一部下記の様なケースでも年末調整が必要な場合もありますので注意しましょう。

1.1年を通じて勤務している人
2.年の途中から入社して、年末まで勤務している従業員
3.著しい心身の障害を理由に年の途中で退職した人で、年内の再就職が見込まれない人
4.年の途中で退職したアルバイト、パートなどの人で、本年の年収が103万円以下の人
5.海外転勤などで非居住者となった人

年末調整が不要な人

他方、年末調整の不要な方は下記のケースが該当します。

1.本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
2.災害減免法の規定に基づいて、所得税などの源泉徴収の納税猶予や還付を受けている人
3.2か所以上から給与の支払いを受けており、他の勤務先に扶養控除等申告書を提出している人
4.年の中途で退職した人(年末調整の対象となる人に該当しない場合)
5.非居住者
6.年末調整を行う時期までに、勤務先に扶養控除申告書を提出していない人
7.継続して同一の雇用主に雇用されない日雇労働者など

この中で注意しておきたいのは2か所以上から給与をもらっている方です。近年はダブルワークや副業など多様な働き方がありますので、いわゆる主たる勤務先(本業)に自社が該当しているのか、対象の従業員にヒアリングする必要があると言えます。

年末調整だけでは対処できないこと

生命保険料控除や地震保険料控除は年末調整だけで完了できますが、医療費控除や寄附金控除、雑損控除は確定申告の必要があります。また、住宅ローン控除も初年度のみは確定申告する必要がありますので、忘れずに押さえておきたいところです。

先ほど登場したダブルワークや副業を行っている方も同じように確定申告する必要がある場合が存在します。まず、給与として二か所以上から受け取っている場合は確定申告が必要となります。これは本業の方が源泉徴収税額票の甲欄で徴収されているのに対し、副業の方は乙欄で徴収されているため、確定申告を行うことで正しい税額を納税することになります。

また、副業として事業所得が20万円以上ある場合も確定申告が必要です。20万円以下の場合は確定申告の必要はありませんが、住民税の申告は必要ですので結局のところ副業を行っているのであれば確定申告をしておいた方が無難と言えるでしょう。

今ではスマホで確定申告も出来ますので、昔の様にすべて紙で提出や経理ソフトが必要ということもありません。働き方が幅広くなった分だけ、確定申告のやり方も幅広くなったと言えますね。

今回のまとめ

すでに年末調整の各種書類提出締め切りを迎えた事業者さんもいらっしゃるかもしれません。まだ期限があるという事業者さんであればどうぞ本コラムを従業員に回覧してもらい、「なぜ、年末調整は必要か?」「確定申告が必要な場合はどんな時か?」を従業員が認識すれば、問い合わせや質問も減るのではないかと考えます。

さらに、正しい知識を従業員が持つことで各種書類の提出スピードも上がるのではないでしょうか。総務人事担当者様の業務効率化に本コラムがお役に立てば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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