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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「建設・土木業の働き方改革①」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、建設業においても「働き方改革」の波が押し寄せ、2024年4月からは時間外労働に上限規制がかけられることとなります。
そこで、『建設業の働き方改革』というタイトルで数回に分け、本コラムで経営者や現場管理者がどのように働き方改革へ対応していけばよいのか? ということを解説していきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

建設業の働き方改革

出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/common/001226489.pdf

働き方改革という言葉はここ数年大きく取り上げられることになり、在宅勤務や時差出勤、ノー残業デーなど、業種・業界によって異なりますが、徐々に生活へ浸透してきたように思います。
しかし、建設業に関して言えば一部の職種を除いて在宅勤務などを活用することは不可能であり、働き方改革という面では後れを取っていたという事実がございます。

また、それに比例して担い手不足や定着率の低下ということも発生しやすい業種であるため、国としても業界存続のために何らかの手段を打つ必要に迫られたという訳です。

上図をご覧いただくとわかるように、建設業の働き方改革は大きく3つのプログラムに分かれています。今回はその中でも時間外労働の是正について取り上げます。

時間外労働の是正

時間外労働=残業のことですが、労働基準法で定めるところ、法定労働時間は1日8時間。1週間40時間となっています。
これを越えた労働時間は時間外労働となりますが、労使で36協定を結んでいる場合は原則「月45時間・年360時間」を上限に法定時間外にも働いてもらうことが可能になります。その際には25%の割増賃金を支払うことも必要です。

ただし、これは一般的な会社員の場合であって建設業界等では特別条項付き36協定を結ぶことにより、事実上上限無く働かせることも出来てしまうという状態が長く続いていました。この問題を解決するために2020年4月より時間外労働に対する規制が強化されましたが、建設業に関しては2024年4月より適用されることとなっています。

法改正を踏まえて2024年4月からは、建設業であっても特別条項付き36協定を結んだ場合は休日出勤を含め月100時間未満・年間720時間以内が時間外労働の上限時間となります。災害等の復旧、復興事業は一部除外されますが、一般的な工事に関しては以前のような「働かせ放題」というわけには行きませんので、企業としても時間外労働是正に本気で取り組む必要があると言えるでしょう。
ちなみに、2024年4月以降に労働時間の上限規制を守らない場合、罰則が科せられることになります。6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金というペナルティとなりますが、それ以上に社会的な信用力の低下など会社存続にかかわる事態にもなりかねませんので、今のうちから従業員の労働時間管理について気を配ることをおススメします。

週休2日制の導入

出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/common/001220499.pdf

上図をご覧いただくとわかる通り、建設関連事業で週2日の休みを取れる案件は1割以下となっています。週休2日制が定着してから時間が経ったにもかかわらず、建設業においてはまだまだ「週1日の貴重な休み」という習慣が続いているわけです。

以前のコラムでもお伝えしたことですが、従業員定着率の向上には心身ともに安心して働ける環境が第一であると考えます。休みを増やすということを簡単に選択できないことは分かりますが、業務効率化や給与体系の見直しを含め、将来への不安が少ない職場環境を作ることも経営者の重要な役割であると言えるでしょう。

国としても建設業の週休2日制を後押しするため公共事業や直轄工事において、「適正な工期設定等のためのガイドライン」の改定も行われています。民間工事の場合は発注者との協議が必要になりますが、従業員を守るためにも「無理な工期は無理」と決断していただくことこそが、結果的に会社の長期成長に繋がるのではないかと考えます。

今回のまとめ

働き方改革は「休みを増やす」「働く時間を減らす」ことが目的と思われますが、決してそうではありません。
効率的な働き方やテクノロジーの活用、従業員の不安を小さくしていくという行動が結果的に「休日の増加」「労働時間の減少」に繋がり、上記行動の結果社会と会社が発展していくことが目的です。

まずは従業員の不安を小さくするために出来ることは何か? を考えてみてはいかがでしょうか。

次回のコラムでは「働き方改革その②」として給与や社会保険について解説してまいりますので、楽しみにお待ちください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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