DREAMJOB Innovation Lab

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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「NO.2の育て方①成長の踊り場で必要なのはNO.2」

創業から順調に成長してきた会社もどこかのタイミングで踊り場を迎えてしまうことがあります。市場の変化、競合の台頭と要因はさまざまかもしれませんが、社長自身があらゆることをひとりで抱えすぎてパンクしていて、何ごともスピード感がなく頭打ちということも一因であるように思います。その状況を変えるには一体どうしたら良いのでしょうか。

答えは、NO.2を育てることです。

中小企業の多くはワンマン経営

中小企業のほとんどがワンマン経営と言われており、優れた社長が成果を出し続けている会社も多いです。

ワンマン経営と聞くと、なんとなくネガティブなイメージがありますが、特に中小企業では社長がリーダーシップを発揮していかなければ、経営が立ち行かなくなってしまいますから、一概にワンマン経営が悪いということでは決してありません。

まずここでお伝えしたいのは、ワンマン経営にはメリットとデメリットがあるという事実です。

ワンマン経営のメリットとデメリット

ワンマン経営のメリット
 ・意思決定と行動のスピードが早い
 ・社内に緊張が生まれる
 ・社長の意思が尊重されやすい
 ・責任の所在が明確になる

ワンマン経営のデメリット
 ・社長が間違いに気づきにくくなる
 ・イエスマンが増え、社員の自主性がなくなりやすい
 ・社長に負担と責任が集中する
 ・社員の信頼を失いやすい

社長をされている方でハッとした方や自分が勤務する会社の社長を思い浮かべて「そうなんだよな」と感じた方もいるかもしれません。

物事には良い面と悪い面がセットで存在しますから、悪い面だけ取り上げて全部ダメと判断するのは浅い考え方です。

社長が全ての権限を握りしめている理由はなぜなのか?そうしたことを考えないといけない訳です。

もちろん、社長個人の性格的なこともあるかと思います。例えば、全てを細かく把握しておかないと気が済まない、部下に失敗させたくないなどさまざまな考えが背景にあるかもしれません。

ただ、部下の管理や育成という側面でいえば一人の人間がみれる範囲はせいぜい5人程度、その他に資金繰りや営業活動、会議や社内の大小さまざまな決裁などすべて一人でこなしていたらワンマン経営の良い面よりも悪い面が目立ってきてしまう、それが現実なのです。

さらに言うとワンマン経営におけるワンマン社長にも良い社長と悪い社長が存在します。

良いワンマン社長と悪いワンマン社長

良いワンマン社長
 ・意思決定が早い
 ・行動力がある
 ・責任感が強い
 ・リーダーシップやカリスマ性がある
 ・人間的な魅力がある
 ・主役は社員と顧客と考える

悪いワンマン社長
 ・自信家で傲慢
 ・社員に対して理不尽な強制が多い
 ・感情的になりやすい
 ・自分で仕事を抱えてしまう
 ・社員への不満が多い
 ・主役は自分と考える

ワンマン経営でもしっかり成果を出すし、社員を大事にしている社長は社員からの人望も厚い場合がありますが、周囲をイエスマンで固めて、社員の意見など聞く気もない暴君のような社長も残念ながら存在します。

よって、いわゆるブラック企業というのはワンマン経営でかつ悪いワンマン社長が経営している会社というのが正確な定義かと思います。

悪いワンマン社長の場合は能力というより、人間性に関する問題が多いのでなかなか改善することが難しいのが正直な感想です。誰しも考え方や性格を直せと言われても変わることができないのが現実です。

一方で、ワンマン経営をしている良いワンマン社長ですが、こちらは環境や仕組みを変えることで劇的に改善される場合があります。

社長が本来やるべきことは何なのか

社長が本来やるべきことは、シンプルですが、将来を展望し、経営戦略を立てることに他なりません。

事業規模が大きくなり、従業員が増えればそれだけ課題も複雑になり、増えていくばかりです。社長があらゆることを一人で抱えてしまうと社長の限界が会社の限界となり、社長自身と会社が機能不全に陥ってしまいます。

経営戦略を実行するのは誰が良いのか

経営戦略を描いても実行されなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。NO.2がいない、いても機能していない場合には事業部ごとの責任者、部長などが社長の命令、指示に基づいて行動することになりますが、その部長などの責任者が会社全体の利益は何か、その方向性などを正しく理解していないとさまざまな活動にどうしても都度修正が必要となります。

その修正をまた社長が行うのでしょうか?現実的には会議をしたり、各種報告に基づいて新たな指示、命令を出し、部長など管理職の指導まで行うことになるはずです。それもまた社長らしい仕事であるかもしれませんが、先ほどお伝えしたとおり、社長が本来やるべきことは将来を展望し、経営戦略を立てることです。それ以外は何もしなくてもよいとは言わないまでも、考えることと実行することの全てに社長が関わっていれば自ずとスピードは落ちます。

社長とともに会社全体を見ながら、実行する存在が必要

本稿のメインテーマであるNO.2の話がここでやっと登場です。NO.2の仕事や役割を簡潔に言うと、社長の描いた経営戦略を実行することです。より具体的なことはつぎのようなことです。

戦略を具体的な戦術に落とし込むこと
 ・従業員に対して、戦略実行のための情報を発信し、育成、管理をすること
 ・課題を発見し、計画的に改善すること
 ・会社全体のマネジメントを行うこと
 ・社長に対して、正しい情報を提供し、進言すること
 ・社長に足りない部分を補う能力を発揮すること

NO.2の仕事は社長の代理ではなく、補佐です。また部長などの管理職と異なるのは部門や自チームだけではなく、会社全体を見ることです。より具体的なイメージで言えば、社長にとっては部下というよりもビジネスパートナーに近い存在かもしれません。

優れた社長ともなれば、戦略を立てることはもちろん戦術まで考え抜いているかもしれません。それでも見込み違いや、修正は必ず発生し、考えたことが全て上手くいくことなどはあり得ません。会社の活動は人間活動ですから従業員が意のままに動くことなどないです。だからこそ、戦略を立てることと実行することは分けないと社長の限界が会社の限界となってしまう訳です。

NO.2の具体的事例

三國志が好きな方でなくても蜀の劉備に仕えた諸葛孔明は聞いたことがあるかと思います。また、現代経営では世界の本田技研工業を創業した本田宗一郎を裏方として支えた藤澤武夫などNO.2の鑑と言えるような人物が多数存在しますし、業歴の長い中小企業などには大番頭のような存在が必ずいるものです。

三國志時代、蜀の劉備を支えた諸葛孔明
 ・本田技研工業の本田宗一郎と藤澤武夫
 ・ソニーの井深大と盛田昭夫
 ・松下電器の松下幸之助と高橋荒太郎

中国古典が好きなのでつい諸葛孔明を登場させてしまいましたが、才能に溢れる社長がいてもその裏にはやはり優れた名参謀がいるものです。

少し長くなりましたので、また次回に続きを書きたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

株式会社コナトゥスマネジメント
代表 平原 孝之