DREAMJOB Innovation Lab

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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「 NO.2の育て方⑤NO.2をいかに育てるか 」

これまでNO.2の役割や選び方、活躍する環境作りについてお伝えしてきました。今回はNO.2をどう育てるのかというメインテーマです。

NO.2に相応しいのは利他の心が強い人材

NO.2の役割を果たすためには、仕事を処理するための能力が必要なことは言うまでもありませんが、ただ処理能力が高いというだけではNO.2は務まりません。

前回までNO.2には人に仕えることができる性質が必要と書きましたが、人に仕えることができることをもう少しかみ砕いて言うと、他人の想いに共感し、自分の役割を自覚し、出しゃばることなく縁の下の力持ちとして能力を発揮することです。

簡単なことのように感じられるかもしれませんが、案外、これらは難しいことなのです。

人には名誉欲や自己顕示欲、金銭欲などさまざまな欲求というものがあります。

能力が高ければ、実績も作れるでしょう。けれども、それらはNO.2が出した成果ということにはならず、会社の実績、社長の活躍として扱われ、表には出ないことばかりです。

想像してみてください。自分が仕事をしていてどんな成果を出してもそれが自分の頑張りや能力の高さだとは周囲に知られることがない状況です。

多くの人は、それは自分がやったことだと知ってもらいたい、認めてもらいたい、成果に対する対価が欲しい、そんな気持ちになるはずです。俺が、私がと言いたくなるのが普通ではないでしょうか。

本当のNO.2というものは、そうした気持ちに囚われず、会社や社長のため、お客様のため、ひいては社会のために陰ながら微力を尽くしたに過ぎないという気持ちでいられる人物。つまり利他の心が強いことが望ましいのです。

俺が、私がと主張する人材は、この利他の心が欠けているので、本質的には人に仕えることができない訳です。

人は論理だけでなく、情で動く

成果を出すためには、課題発見力と解決力が必要です。課題に対して、原因と結果の関係性を見極め、仮説を立てて検証してみるというロジカルな試みをしなければなりません。

けれども、その過程で多くの場合は人の問題に突き当たると思います。

お客様が自社の商材を買ってくれない理由は何か、自社の社員が期待通りに行動してくれないのはなぜか、社長が機能不全に陥っているのはどうしてか。マーケティングやマネジメントなど事業活動のほとんどは人間心理をいかに読み解くかが根幹にあります。

計画は立派でも、モノが売れない、社員が思うように動かない、社長と上手く連携できないという場合には人間心理を読み解けていないことが原因です。

NO.2の仕事は課題解決を通じて、社長の理念や戦略の実現化です。理屈だけでなく、人の心の動きにも注目しないと成果を出せないのが現実ですから、情、すなわち人間心理を理解していることが必要となるのです。

NO.2を育てるためには人間への深い理解力を養うことが重要

仕事のやり方はどんな仕事でも究極は作業ですから、やり方を教えてマスターすれば誰でもできる可能性があります。よって、多くの人材育成というのはやり方を教える場合が多くなってしまいます。

けれども、本当に優れたNO.2に求められるものは、利他の心や人間への深い理解力とお伝えしました。

では、そうしたマインドをNO.2に身に着けてもらうためには具体的にどうしたらよいのでしょうか。

・社外のさまざまな人と交わる機会を与え、他人の意見を謙虚に受け止める習慣をつけさせる。
・読書量を意識的に増やして、考える機会を増やさせる。
・社長とのコミュニケーション量を増やして、理屈に偏った考え方が感じられる時には、都度修正をかける。
・外部のコーチや講師などに定期的な指導をしてもらう。

知識を蓄えることよりも考え方を考える、考え方を学ぶということに重点が置かれています。

例えば、適切なタイミングで、社長に報連相がしっかりできる人材がいるとします。その人の頭の中では、「こんなことがあった。社長と先ずは共有だ。大事に至る前に手を打たないといけない。」ということになっているはずです。

さまざまなシュチュエーションがあるかもしれませんが、この情報を速やかに把握しておくべき人間は誰なのか、誰がどんなプロセスで対応するのか、こうしたことを瞬時に考えられるのは相手の立場に立ってものを考えられる想像力が豊かな感性の人材だけです。

気が利く人とそうでない人というのがいます。

気が利く人は他人の気持ちに敏感だからこそ先読みができるので、何ごともそつがありません。一方で、気が利かない人は同じような指摘を何度してもなかなか治りません。

もしNO.2としている人材に不満があるとしたら、それは気が利かないという点が大部分の理由になっていると思われます。

社外のさまざまな人と交わる機会を与えるのも、読書量を増やしてもらうのも、社長から都度修正をかけてもらうのも、外部のコーチや講師などに指導をしてもらうのも、自分とは異なる考え方や見方があることを知り、自分の考え方との差を感じさせ、上手くいかない原因を知る機会を持たせるためです。

NO.2自身に他人の感じ方に対して無頓着であることを理解してもらい、より正しいコミュニケーションや対応がなんであるかを学んでもらうことが真のNO.2になるための必須条件と言っても言い過ぎではないです。

人間への深い理解というとなんだか抽象的な精神論に聞こえてしまいそうです。

けれども、それこそ想像してみてください。

いつも的確なタイミングで、社長の気持ちや立場を重んじながら適切な意見を言ってくれる。頼んだことを計画通りに進めてくれる。判断に迷うことがあれば相談をしてくれる。

こうしたことができるのは仕事の処理能力ではなく、人間への深い理解があるからできることであり、信頼できると感じる理由のひとつだと感じられませんか。よって、精神論でもなんでもなく、人格的要件と言ってもよいくらいなことです。

そして、NO.2から信頼される社長であることがそもそも重要であることに気が付くと思います。

この点についても次回以降お伝えしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

株式会社コナトゥスマネジメント 代表 平原 孝之

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