ふるさと納税の目的
ふるさと納税はどのような目的で創設されたかご存じでしょうか?ふるさと納税は以下のような目的で創設されました。
- ご自身の所得税・住民税の一部を出身地など応援したい自治体へ寄付することで地方創生に貢献できる。また、地方を活性化させる助力となること
- 被災地などに寄付することで復興の助力となること
- ふるさと納税を通して、納税者が税金の使われ方を考えるきっかけとなること
- ふるさと納税をしてくれた方に返礼品を送ることで、地域産業の活性化を図ること
- 自治体にとっても、地域のあり方を考えるきっかけとなること
このような目的で創設されました。ふるさと納税をされる際に目的を意識してふるさと納税を行うと、ふるさと納税の見え方が変わってまいりますので、ふるさと納税の目的を知ることも大切です。
ふるさと納税の仕組みと上限額
ふるさと納税は任意の自治体に寄付することで、住民税や所得税が控除される仕組みとなっています。控除を受けられる金額の上限は住民税の納税額によって異なりますが、住民税や所得税から控除される金額は寄付した金額から2,000円を差し引いた金額となります。例えば、年間50,000円を寄付した場合には、48,000円が住民税や所得税から控除されます。
各自治体では、ふるさと納税の返礼品として、寄付金額の3割以内の返礼品が用意されています。50,000円ふるさと納税すると15,000円以下の返礼品を受け取ることができます。
ただし、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額を所得税・住民税から控除を受けられるといっても、無制限に控除が受けられるわけではありません。その年の所得に応じてふるさと納税の上限額が異なってきます。そのふるさと納税の上限額以内であればご自己の負担は2,000円になりますので、ご自身の上限額を把握していくことが重要となります。
サラリーマンなど給与所得のみの方は、各ふるさと納税のサイトなどに年収による上限額の目安や上限額を計算することができるページが用意されていますので、そちらを活用してご自身の上限額を把握していけばよろしいかと思います。
ここでは、個人事業主など確定申告をされている方がご自身で上限額を計算できるように上限額の目安となる計算方法を紹介していきます。
課税所得金額 | 寄付可能上限額 |
195万円以下 | 住民税所得割額×23.559%+2,000円 |
195万円超330万円以下 | 住民税所得割額×25.066%+2,000円 |
330万円超695万円以下 | 住民税所得割額×28.744%+2,000円 |
695万円超900万円以下 | 住民税所得割額×30.068%+2,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 住民税所得割額×35.520%+2,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 住民税所得割額×40.683%+2,000円 |
4,000万円超 | 住民税所得割額×45.398%+2,000円 |
課税所得金額とは、所得金額から所得控除を差し引いて計算した金額で、総合所得のみで申告されている方でしたら、確定申告書の第一表右上段にある課税される所得金額がそれに該当します。
住民税所得割額は、住民税の所得金額から所得控除を差し引いた金額に税率をかけて計算していきます。上限額の目安を計算する場合でしたら、上記の課税所得金額の10%を基に計算していきますとおおよその寄付可能上限額を計算することができます。
ふるさと納税の手続き
・ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度は、サラリーマンなどの給与所得者で確定申告や住民税の申告を行わない人が利用することができる制度です。年間の寄付先が5自治体以内の場合に使うことができます。
ワンストップ特例制度を利用するためには、ワンストップ特例制度の申請用紙に必要事項を記載して、本人確認書類などを同封して、寄付した各自治体に提出することで利用することができます。
・確定申告
ワンストップ特例制度を利用しない方は、全て確定申告が必要となります。
ふるさと納税をすると寄付金受領証明書が送られてきますので、送られてきた寄付金受領証明書を基に寄付金控除を計算していきます。
書面で確定申告をする場合には、この寄付金受領証明書の添付が必要となります。
ふるさと納税先の選定
元々、ふるさと納税は応援したい自治体に寄付する制度ですので、地元などゆかりのある自治体にふるさと納税を行うのも一つの方法です。
また、昨今、地震や大雨などの天災で被害を受ける自治体が多くあります。そのような自治体に復興の目的でふるさと納税を行うのも一つの方法です。
後は返礼品から自治体を選定していくこともできます。お米・お肉・野菜などその自治体の名産品がお礼として送られてきますので、返礼品からふるさと納税を行う先を選ぶのも一つの方法です。
それぞれの考え方や立場に応じて、ふるさと納税をする自治体は変わってくると思います。ふるさと納税を行う自治体は色々な角度から判断して、選定いくと良いでしょう。
ふるさと納税の改正
令和3年分の確定申告よりふるさと納税について、改正がありました。
今まで電子申告で確定申告をする場合は、寄付先・寄付金額など入力が必要でした。書面で確定申告をする場合は、寄付金受領証明書の添付が必要でした。
令和3年の確定申告から特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」を紙または電子データで添付することで確定申告ができるようになり、確定申告の手間が大幅に軽減されることとなりました。
現在、国税庁長官が指定している特定事業は下記の15業者・ポータルサイトとなります。
- ①ふるなび(株式会社アイモバイル)
- ②さとふる(株式会社さとふる)
- ③楽天ふるさと納税(楽天グループ株式会社)
- ④ふるさとチョイス(株式会社トラストバンク)
- ⑤ふるさとパレット(東急株式会社)
- ⑥ふるさとプレミアム(株式会社ユニメディア)
- ⑦ふるさとぷらす(株式会社エスツー)
- ⑧セゾンのふるさと納税(株式会社クレディセゾン)
- ⑨ANAのふるさと納税(全日本空輸株式会社)
- ⑩ふるさと本舗(株式会社ふるさと本舗)
- ⑪三越伊勢丹ふるさと納税(株式会社三越伊勢丹)
- ⑫JALふるさと納税(株式会社JALUX)
- ⑬auPAYふるさと納税(KDDI株式会社)
- ⑭ふるラボ(朝日放送テレビ株式会社)
- ⑮ふるさと納税ニッポン!(アイハーツ株式会社)
各ポータルサイトにより「寄附金控除に関する証明書」の発行手続きは異なりますが、一例として、楽天ふるさと納税の証明書の発行方法は下記のとなります。
特にふるさと納税の件数が多い方は、こちらの制度を利用すると確定申告が楽になりますので、確定申告の前に手続きしていきましょう。
ふるさとの納税の寄付額の推移
ふるさと納税の過去の寄付の受入額と受入件数を総務省が発表している数値を基に作成しました。ふるさと納税の移り変わりを見ていきましょう。
こちらの表で分かるとおり、令和3年度ついにふるさと納税の受入額は8,000億円を突破しました。創設当時の平成20年度の約100倍の金額がふるさと納税として、各自治体に集まるようになりました。前年の令和2年度から比べても1,500億円増えており、過去最高額を更新しております。
ふるさと納税が始まった平成20年度は81.4億円(5.4万件)だったが、少しずつふるさと納税の認知されることで、受入額・件数ともに少しずつ上昇していましたが、平成27年度より個人の寄付上限額が住民税所得割の1割から2割に引き上げられたことで、1,652.9億円(726.0万件)に急増しています。
そこから右肩上がりとなっておりますが、ふるさと納税の寄付者・寄付額の拡大に伴い、利用者獲得のためにふるさと納税の返礼品競争の過熱していきました。そのため、総務省は令和1年度に返礼品は「寄付額の30%以下の地場産品」と返礼品基準が新設されたことに伴い、令和1年度は一旦減少しております。
その後、令和2年度以降も上昇しており、令和3年度はついに8,302.4億円(4,447.3万件)ともう一息で1兆円に届くところまで来ました。
ふるさと納税人気の自治体
令和3年度のふるさと納税受入額上位10自治体は下記の通りとなります。
順位 | 自治体名 | 寄付金額(単位:千円) | 人気の返礼品 |
1 | 北海道紋別市 | 15,296,767 | ほたて、ズワイガニ、いくら |
2 | 宮崎県都城市 | 14,616,191 | 宮崎牛、豚肉(高城の里) |
3 | 北海道根室市 | 14,604,567 | ウニ、ホタテ、いくら |
4 | 北海道白糠町 | 12,521,863 | いくら、数の子、チーズ |
5 | 大阪府泉佐野市 | 11,346,705 | 熟成牛、牛タン、タオル |
6 | 宮崎県都農町 | 10,945,146 | うなぎ、豚肉切落とし |
7 | 兵庫県洲本市 | 7,842,264 | 淡路牛、温泉利用券 |
8 | 福井県敦賀市 | 7,722,015 | ズワイガニ、むき海老 |
9 | 山梨県富士吉田市 | 7,213,867 | シャインマスカット、炭酸水 |
10 | 福岡県飯塚市 | 6,563,981 | ハンバーグ、コーヒー、もつ鍋 |
※令和4年1月18日より宮崎県都農町がふるさと納税の対象団体の指定取消(対象外)
令和4年5月1日より兵庫県洲本市がふるさと納税の対象団体の指定取消(対象外)
このように各自自治体の努力もありますが、北海道の海産物、宮崎県の肉類などが人気なように見受けられます。また、ふるさと納税で有名になった大阪府泉佐野市も未だに人気の自治体となっています。
ふるさと納税のポータルサイト
ふるさと納税を行う場合に様々なポータルサイトを経由して、各自治体へふるさと納税をしていきます。主要なポータルサイトの特徴を掲載していきます。
サイト名 | 特徴 |
楽天ふるさと納税 | ふるさと納税を行うと楽天ポイント還元 |
ふるなび | ふるなびコイン還元、PayPayなどに交換できる |
ふるさとチョイス | 掲載数No.1、老舗にふるさと納税サイト |
ふるさとプレミアム | ふるさと納税を行うとAmazonギフト券還元 |
ANAのふるさと納税 | ふるさと納税を行うとマイルがたまる |
JALふるさと納税 | ふるさと納税を行うとマイルがたまる |
auPAYふるさと納税 | Pontaポイント還元、auユーザーは決済方法も手軽 |
各サイトや決済方法などにより、ギフト券やポイントなどの還元を受けることができます。また、タイミングによっては、期間限定のキャンペーンなど行うポータルサイトもあるため、還元率が高くなっている場合もあります。
ご自身の状況やふるさと納税を行うタイミングによって、ポータルサイトを使い分けていくのもよろしいかもしれません。
ふるさと納税のまとめ
ふるさと納税が活性化していく中でポイントとなるのが、ふるさと納税の上限額・ふるさと納税をする自治体・ふるさと納税に利用するポータルサイト・決済方法・ふるさと納税の時期・確定申告などとなってきています。
まずは、ご自身のふるさと納税の上限額を把握していきましょう。ご自身にあったポータルサイトと決済方法で、応援したい自治体にふるさと納税をしていくことで、よりお得にふるさと納税を利用していくことができます。
また、ふるさと納税は時期も大事になってきます。年末にまとめてふるさと納税をされる方もいらっしゃると思いますが、計画的にふるさと納税をしていく方が活用方法も広がっていきます。
最後にワンストップ特例制度や確定申告をすることで始めて税額の控除を受けることができますので、手続きを忘れずに行っていきましょう。また、ふるさと納税の件数が多い方は「寄附金控除に関する証明書」を活用して確定申告を行っていくようにしていきましょう。