DREAMJOB Innovation Lab

若手士業イノベーション協会×DREAMJOB Innovation lab
vol.3 モラルのない経営



企業不祥事が後を絶ちません。ニュースにならないものも含めるとどの企業においても大小さまざまな不祥事を抱えているのかもしれません。ここ最近のニュースで目立ったものはつぎのとおりです。

SMBC日興証券(東京都千代田区)の4人の幹部が金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで3月5日、東京地検特捜部に逮捕された。4人らは株価が値崩れしないよう会社資金で大量の買い注文を出し、終値の株価が下がりすぎないように不正な操作をした模様。

コンビニ大手「ファミリーマート」(東京都港区)がフランチャイズ加盟店との取引契約文書について印紙税約1億3000万円の納付漏れがあったことが3月10日判明した。売買契約書などを取り交わす際には、取引金額に応じて印紙税を収める必要があるが、同社ではこれまで約60万通の取引文書について収入印紙を貼らずにいた。同社では税務当局とは見解の相違があったが、指摘に従うとコメントした。

しゃぶしゃぶなどを提供する和食チェーン「木曽路」(名古屋市)の労働組合が昨年6~7月に実施した「従業員意識調査」で、約4割の従業員が社内で勤務時間を正しく報告していないと回答していたことが6日、同社への取材で分かった。実際は報告よりも長い時間勤務しているケースが多いと見られ、サービス残業が横行していた可能性がある。同社によると、勤務時間は従業員自身がパソコンで入力する仕組みで、正しく報告することを「正直打刻」と社内で呼んでいる。労組の調査では、41.8%の従業員が「正直打刻」ができていないと回答した。

大手寿司チェーン「くら寿司」の現役従業員がパワハラを受けたとして、同社と上司の二者を相手取り、訴訟を起こす意向であることが「 週刊文春 」の取材でわかった。「くら寿司」は回転寿司業界の最大手企業。国内外に567の店舗を構え、社員・アルバイト・パートを合わせた従業員数は1万8524名にのぼる(2021年10月末時点)。訴訟を起こす意向を示しているのは、埼玉事務所にパートとして勤務する事務スタッフ。弁護士同席のもとで取材に応じ、「夏までに数百万円の損害賠償を求める訴状を出す予定です」と明かした。

どれも有名な企業ばかりですが、がっかりします。

■モラルを軽んじる卑しい人間による経営

「人の生くるや直し。これ罔くして生くるや、幸いにして免るるなり。」
人はまっすぐ生きるものだ。曲がった生き方をして失敗を免れたとしてもそれはただの幸運にすぎない。【論語 雍也篇】

会社の存続という大義名分のためなら、人としてやってはいけないことも許されると考えている経営者が世の中には多いのかもしれません。

法律違反をしていてもバレなければそれでよし、発覚したら見解の相違だと体面を保てればそれでよし。まったく卑しい考えだと思います。

大企業なので、不祥事があっても今すぐ破綻するようなことはないでしょうし、消費者もすぐに忘れてしまうかもしれませんが、三つ子の魂百までですから他のことも表沙汰にならないように社内で姑息な対応を練っているのかもしれません。

企業経営で、業績を良くしたい、コストを減らしたいと考えるのは当然ですし、欲に目がくらんだり、追い詰められてつい手を出してしまう心境は理解できます。

またそんな企業で働いている人たちの中にも、保身のため、生活のために忸怩たる思いをしている人もいるでしょう。

結局、企業の不祥事は経営側の問題です。不正取引も不適切な労務管理も経営側の人としての考え方が形として露呈しているに過ぎません。

「君子は義に喩り、小人は利に喩る。」行動に際して、義を優先させるのが君子、利を優先させるのは小人である。【論語 里仁篇】

勝てば官軍で、会社が存続させるためなら何をしてもいい。そのためには消費者を欺き、従業員には正当な対価を与えることもしない。つくづく立派な生き方、考え方だと思います。

信用というものは長い時間かけて地道に築いていくものですが、失う時は一瞬です。失った信用は当該企業が考えるよりもダメージが大きいものです。消費者の中には利用を控える一定の数があるでしょうし、採用の場面でも求職者が敬遠するかもしれません。

経営は綺麗ごとじゃないんだと言うのであれば、苦労して経営などしなければいいだけです。自分に単に知恵もなく、他人を慮る気持ちがないことを棚に上げて、自分の欲望を満たすために経営はするものではないと思います。

家族、友達、親しい仲間の前で、いつでも胸張って生きていけるのですかね。「仕事だから仕方ない」「仕事とはそういうもの」ではないです。



株式会社コナトゥスマネジメント 代表  平原 孝之


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