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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「当日申請も認める義務がある?」
年次有給休暇の申請期限とは

朝、社員から連絡が入り「今日、休みます」と言われた場合、それでも年次有給休暇の使用を許可しないといけないのでしょうか。

年次有給休暇とは、労働者に権利として与えられるもので雇い入れから6箇月が経過し、一定の条件を満たすと付与されます。

付与された年次有給休暇は、「労働者が指定した日」に「自由に」消化することができるのが原則ですが、今回のような直前の申し出についても会社は拒否できないのでしょうか。

年次有給休暇の基本的な考え方

年次有給休暇は、労働者が自ら指定した日(時季)に自由に取得できるのが原則です。労働基準法では、次のように規定されています。

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使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
(労働基準法第39条第5項)
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会社によっては、年次有給休暇申請書に取得理由を書かせたり、上司の許可(承認)が無いと認められなかったりしますが、これは労働基準法の趣旨に反していると言えます。

労働者としては、年次有給休暇の取得希望時季だけを指定するだけでよく、理由を述べたり許可を得たりする必要はありません。

「○日前までに申請すること」という規定は有効か

就業規則で「年次有給休暇は○日前までに会社へ申請すること」と規定しているケースは少なくありません。しかし、この事前申請が「何日前なら有効か」ということは、法令や通達などでは明確に示されていません。

労働基準法関係の行政通達によると一日の単位は「午前〇時から午後一二時までのいわゆる暦日をいう」とされていますので、遅くとも前日までに申請するものと解釈することもできます。

一般的に考えて夜中の午前0時に年次有給休暇を取得したいと言われても翌日の代替要員の確保は難しいと言えますので、遅くとも前日の終業時刻までに申請する必要があると考えることもできます。

まとめ

年次有給休暇の事前申請が「何日前なら有効か」ということは、法令や通達などでは明確に示されていないとはいえ、1箇月前や2箇月前などに申請を求めるのは認められにくいと言わざるを得ません。

「何日前なら有効か」については、企業の規模や取得希望日数などによっても判断がわかれることになりますが、まずは、就業規則にどのような規定があるかも重要な判断基準です。

就業規則を定め、規定の内容をしっかりと説明し、従業員からの同意を得るようにしましょう。また、事業主の権利として「年次有給休暇の時季変更権」についても忘れずに規定するようにしてください。

就業規則の作成などに関するご相談、ご質問は、社会保険労務士法人GOALまでお問い合わせください。

社会保険労務士法人GOAL 代表社員 社会保険労務士 久保田 慎平

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