発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab
先日、人気洋菓子店での残業代未払い事件がインターネット上で話題になっていました。
お菓子の製造に関わる従業員約100名のうち、その半数が月100時間超の時間外労働をしていたにも関わらず、残業代の一部が未払いになっていたようです。
洋菓子店は、労働基準監督署の是正勧告に従い2年間遡って残業代を支払うとしています。
勤怠管理ができていなかったのか、支払う意思がなかったのかはわかりませんが、適切な勤怠管理・労働時間管理ができていない事業主は意外と多いです。
それが原因で賃金未払いや長時間労働、労災事故等のトラブルに発展するケースもあります。
厚生労働省では、ガイドラインの中で勤怠管理の方法を示していますがその資料の中で「労働時間管理のNG事例」として次のようなことを挙げています。
○出勤簿に押印や出欠のみを記録
出勤簿に「○」を付けたり、出勤簿した日に押印したりする方法。
○事後報告
後からまとめて記録を作成する方法。
○過少申告・時間外労働に上限を設ける
実際の時間外労働よりも少なく申告させたり、みなし残業時間を超える残業は申告さなかったりするケース。
勤怠管理・労働時間管理は、次の2つの観点から事業主の義務として位置付けられています。
○給与の適切な支払い
給与の支払いについては、賃金台帳に記録することが義務付けられています(労働基準法第108条)。
賃金台帳を適切に作成するためには、適切な勤怠管理・労働時間管理は必要不可欠です。
○過重労働や健康被害の防止
さらに、過重労働(長時間労働)や健康障害防止の観点からも適切な勤怠管理・労働時間管理が必要なため、「事業者は、・・・労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。」と規定されています(労働安全衛生法第66条の8の3)。
勤怠管理・労働時間管理の方法は、厚生労働省発行の<労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン>に明記されています。
○原則
・使用者が、自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
○例外
やむを得ず自己申告にする場合は、以下の取り組みを実施すること。
・労働時間管理を正しく記録するよう十分な説明を行う
・管理者に対しても労働時間管理について十分な説明を行う
・入退館記録やパソコンのログイン/ログオフデータと乖離がないよう実態調査を行う
未だに手書きの出勤簿を使っているケースもありますが時代遅れと言わざるを得ません。
賃金台帳に必要な項目を記録していない場合や故意に虚偽の記録をした場合は、30万円以下の罰金刑が規定されています(労働基準法第120条)。
また、勤怠管理・労働時間管理を行っていないということは、残業代の未払いが発生している可能性があるので注意が必要です。
「うちの会社は自由だから」「今までもこうやっていた」ということで、適切な勤怠管理・労働時間管理に踏み切れない事業主も少なくありません。
しかし、「適切に勤怠管理・労働時間管理を行うのは誰のためか?」ということを考えてみてください。
他ならない、事業主自身のため、労務リスクから会社を守るために勤怠管理・労働時間管理は、必要不可欠です。
勤怠管理の方法や勤怠管理システムの導入に関するご相談、ご質問は、社会保険労務士法人GOALまでお問い合わせください。
社会保険労務士法人GOAL 代表社員 社会保険労務士 久保田 慎平
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