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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「住宅ローンを見直せば資産が増える!?」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では一般の方へ向けた金融・税務の役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。

「資産を増やす」と聞くと、株式の購入や投資信託の購入など今持っているお金を増やすことを考える方が多いと思います。しかし、資産を増やす方法は投資だけではありません。“払うはずだったお金を少なくする”ことも「資産を増やす」ことに繋がるのではないでしょうか。

“払うはずだったお金を少なくする”代表的なものとして、「住宅ローンの見直し」が上げられます。本コラム読者の中でも一度は検討したことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで今回は『住宅ローンを見直せば資産が増える⁉』と題して、住宅ローンの見直しとはどういうものかを基本的な部分から解説してまいります。
特に住宅ローン返済中の方は、ぜひ最後までお付き合いください。

住宅ローンの見直しとは?

「住宅ローン 見直し」とネット検索すると、金融機関の住宅ローン借り換え用HPがたくさん出てきます。恐らく読者の皆様も「住宅ローン借り換え」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。しかし、具体的にどのようなメリットがあるのかについてまでは詳しくご存じない方も多いことでしょう。
そこでまずは見直しの基本として、住宅ローンの借り換えとはどういうことなのか? 例を上げて解説して行きます。

借り換えの具体例

上記のような条件で住宅ローンをスタートしたとします。
10年が経過した2021年10月に借り換えを行った場合、以下の様にメリットが発生します。

2021年10月に借り換えした場合
残高 約2,260万円(10年間で約740万円返したことになりますね)
新しい銀行の金利 0.5%(変動)
借りる期間 25年(35年-10年=25年となります)
毎月の返済額 80,155円
借換えにかかる諸費用 約70万円(銀行への保証料や登記費用が発生します)

毎月の返済額は87,510円-80,155円=7,355円となり、この先25年間7,355円少なくなった返済額となりますので、借り換えによって得られるメリットは次の通りとなります。

7,355円×25年(300か月)-70万円(諸費用分)=150万6500円

今回の例では借り換えを行うことで約150万円のメリットを出すことに成功しました。
金利の高い金融機関から金利の低い金融機関に借り換えをするだけで、150万円という大金を“払わずに済んだ”ことになりますね。

今回の例では毎月の返済額を少なくするパターンでの借り換えでしたが、毎月の返済額を同じくらいとして、返済期間を短縮する借り換えも存在します。そちらのパターンも見て行きましょう。

2021年10月に期間短縮で借り換えした場合
残高 約2,260万円
新しい銀行の金利 0.5%
借りる期間 22年10か月(274回)
毎月の返済額 87,296円
借換えにかかる諸費用 約70万円(銀行への保証料や登記費用が発生します)

先ほどの例とは異なり毎月の返済額はほとんど変わりません。しかし、25年の期間は22年10ヶ月へと短縮されていますので、メリットは次の通りとなります。

87,510円×26回(25年-22年10か月)-70万円(諸費用分)=157万5260円

実際には毎月返済額も微減しているので、その分もメリットとなりますが計算の都合上省かせていただきました。

毎月返済額軽減・期間短縮いずれのケースでも借り換えを行うことによって“払わずに済んだお金”をねん出することが出来たことがお分かりいただけると思います。

借り換えのデメリット

“払わずに済んだお金”があるのだからデメリットなんて無い…と思うかもしれませんが、いくつかの注意点は存在します。代表的なものとして3つ挙げて行きますのでチェックしてみてください。

①諸費用がかかる
先の例でも触れましたが、金融機関を変更して借り直すわけですので、保証料・手数料・登記費用などといった諸費用が発生します。借り換えする住宅ローンに諸費用分を上乗せするか、自身の貯金から支払うかは選べるケースがほとんどですが、いずれにせよ費用の発生は必ず存在するのです。
もっとも、発生する費用も考慮してシミュレーションを行えば費用負けしてしまうことにはならないでしょうから、借り換え前には詳細なシミュレーションを行うことを強くおススメ致します。その際には金融機関担当者や住宅ローンに強いFPなど専門家へ相談すると良いでしょう。

②手間がかかる
ネット銀行の発達によって家にいながら住宅ローンも借り換えできる時代が来ましたが、それでも役所へ住民票を取りに行ったり、現在借りている金融機関に出向いて完済の手続きをしたりなど、住宅ローンの借り換えには何かと手間がかかります。

また、金融機関によっては給料の振込口座に指定してもらうことが条件となっているケースもありますので、こうなるとメインバンクそのものを変更するということにもなります。メインバンク変更に伴って各種引き落とし先への変更手続きも必要になるでしょうから、ご自身で思っているよりも意外と手間はかかってしまうものです。

それでもメリットで得られる“払わずに済んだお金”の事を考えれば、手間を惜しむよりも積極的に動いた方が得策と言えるのではないでしょうか。

③金利タイプの悩み
住宅ローンは大きく分けて3つの金利タイプが存在します。
・変動(先の例で登場しました)
・期間固定(5年固定や10年固定など)
・全期間固定(フラット35など)

今回の例では変動から変動へ借り換えを行っていますが、固定金利へ見直すという選択肢も存在します。一般的に変動金利と固定金利を比較した場合、変動金利の方が低金利ということもあり人気が高いですが、“変動”という名の通り金利が動く可能性が存在します。

言い換えると、自身の借金の金利がいくらになるのかわからない状態で借り続けているのが変動金利であるともいえるわけです。
どの金利タイプが自身に合っているかは、生活・家族環境、考え方によって異なってきますので現在変動だから変動に借り換えようという発想ではなく、どの金利タイプが自分たちに合っているかを検討し、自身が納得できる答えを出してから商品選択へ進まれることをおススメ致します。

今回のまとめ

資産を増やすことにも繋がる“払わずに済んだお金”をねん出する方法として、住宅ローンの見直しについて解説致しました。

皆さんもご存知の通り現在は超低金利時代ですので、マイナス金利導入前に住宅ローンを借りた方であれば、見直すことによってメリットを得られる可能性は高いと言えるでしょう。その際は、ご自身の考え方を整理し、ライフプランを詳細にシミュレーションした上で、どこの金融機関でどの商品を選択するか? を判断して行っていただければと思います。

本コラムが皆様の家計や資産にとってヒントとなれば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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