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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

「会社が保険に加入する優先順位とは?」

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では個人事業主の方・小規模事業者の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

皆さんは事業を営んで行く上で“保険”へ加入しているでしょうか。様々な保険会社より多種多様な保険商品が発売されておりますが、加入を検討するには商品内容と合わせて「加入する順番」にも気を配る必要があるのです。

そこで今月のコラムでは『保険に加入する優先順位』と題して、どんな保険へ加入することを優先したらよいのか? について解説してまいります。
皆様が法人として加入する保険選びの参考になれば幸いです。

最低限備えておきたい保障

法人で加入する保険は個人と同様大きく分けて「損害保険」と「生命保険」に分けられます。両者どちらかだけ加入すれば良いというわけではなく、皆さんが営む事業によって抱えるリスクは異なりますので、それに見合った保険商品へ加入することが大切です。
とは言え、様々な商品が存在する中でどのような保険へ加入したらよいかお悩みの方もいらっしゃることでしょう。また、保険に割ける予算にも限りがあることと思います。

そこで、創業時であったとしても最低限備えておきたい保障を取り上げてみました。業種や会社規模によって必要となる保障額・保険料は異なりますが、いずれも最低限備えておきたい保障となりますので、詳しく見て行きましょう。

賠償責任保険

例えば飲食店を営んでいたとします。食材の管理が原因で食中毒を起こしてしまい、お客様が入院することになってしまいました。お客様から治療費の請求が来た場合、損害賠償として支払う義務が事業者にはございます。

こういった場合に保障してくれる保険が「賠償責任保険」と呼ばれるものです。飲食店を例に上げましたが、あらゆる事業にはその事業活動に対して“責任”が存在します。

「誰かにケガをさせてしまった」「誰かの財産に損害を与えてしまった」ということは、気を付けていても防ぎようがないケースもございます。自動車事故の様に「わざとじゃない」ことは分かっていても、法律上賠償責任を負ってしまうことはあるのです。

また、近年増えているサイバー攻撃を保障してくれるサイバーセキュリティ保険なども存在するようですので、お客様の個人情報を扱う事業者の方はそういった保険の加入を検討してみても良いでしょう。

多様な賠償リスクに備えるため、「賠償責任保険」は柔軟なプラン設計が可能です。「賠償責任保険」へ加入されていない方は早めの加入を推奨しますが、加入される際は経験豊富な損害保険のプロ代理店によく相談してから加入されることをおススメいたします。

借入金対策の生命保険

事業を営むうえで“借入”を金融機関に起こしている方は多いことでしょう。順調に返済している間は良いですが、代表であるあなたの身に万一のことがあった場合。残された借金は誰が返していくことになるでしょうか?

代表者に万一があったとしても、会社の事業が順調に行けばよいですが、多くの場合業績は一時的に傾くか、会社自体無くなってしまうケースもございます。
もし、会社が無くなってしまった場合であっても、代表者は借入を起こす際連帯保証を組んでいるケースが多いので、残った借金は代表者の家族が背負うことになってしまいます。

このような事態を防ぐため、「生命保険」でまず備えておきたいのは“借入金”対策としての加入です。借入額・返済期間の状況によって加入必要性や加入する商品は異なりますので、借入金に対して全く対策を行っていないという場合は、法人保険に明るい保険代理店へ相談することをおススメ致します。

代表者の保障

既述の通り代表者に万一のことがあれば、会社の業績に大きく影響することでしょう。それがオーナー社長であれば尚更です。遺された従業員、代表者家族の生活や会社そのものの運転資金としても、代表者としてある程度の保障を用意するのは必須と言えるかもしれません。

業種や会社規模・代表者の家族形態に大きく左右されることにはなりますが、借入金対策同様に生命保険の専門家へ相談すると良いでしょう。

余裕があれば備えておきたい保障

「賠償責任保険」「借入金対策」「代表者の保障」
これら3点は業種・売上・会社規模・代表者の家族形態によって違いはありますが、まず備えておきたい保障と言えます。

これからご紹介するのは、業績が上がり会社が順調に回って行った場合に加入を検討しても良いと思えるものを取り上げます。業種によっては創業時でも加入した方が良い商品もございますので、合わせて見て行きましょう。

任意労災

“労災”自体は社会保険の一部としてありますが、それだけでは保障が足りないケースもございます。近年増えている使用者側の責任を問う訴訟である、労災訴訟では社会保険の“労災”で保障することが出来ません。

また、社会保険の“労災”は従業員のためのものです。役員や代表者は保障の対象外ですので、会社の中枢にいる人間を労働災害から守るためにも、会社として余裕が出来てきたら加入することを推奨致します。

例外として、一般的に事故が多いと言われる建設業の方であれば創業時であったとしても、任意労災への加入を検討してみても良いでしょう。下請けや孫請けといったように多くの会社が関わる工事であれば、それら関連会社の役員を守るためにも任意労災は必須と言えるかもしれません。

退職金・福利厚生のための生命保険

一昔前であれば「全額損金」や「半額損金」で高い人気を誇った商品もありましたが、法人保険に対する税制改正があり、近年では大きな損金を生み出すことは難しくなりました。

とは言え、代表者の万一保障を確保しながら、退職金の積み立ても出来る保険商品は未だに根強い人気を誇ります。個別の保険商品を取り上げることは避けますが、会社として余裕が出てきたら代表者の勇退資金積立として、積立タイプの生命保険を活用すると良いでしょう。

また、従業員の定着率を高めるため福利厚生の一環として生命保険を活用するのも良いでしょう。在職中の死亡や入院に対して保障を用意しておくということも出来ますので、従業員は安心して仕事に励むことが可能です。

一点注意していただきたい事として、退職金や福利厚生の一環として生命保険を活用する場合には「退職金規程」や「弔慰金・見舞金規程」の制定も同時に必要になってまいりますので、不安のある方は会社の状況に合わせて専門家へ相談してから加入することをおススメ致します。

今回のまとめ

今回は『保険に加入する優先順位』と題して、会社としてどんな保険商品へ加入して行ったらよいのか? について解説致しました。
最低限備えておきたい保障を中心に、ご自身が営む事業のリスクを洗い出し、適切な保険へ加入していただければと思います。

なお保険加入のチャネルは、地場の保険代理店・広域保険代理店・来店型ショップ・保険会社の営業さんと様々ですが、法人保険の取り扱いに慣れた方から加入されることをおススメ致します。個人保険とは求められる周辺知識も異なりますので、保険取り扱い者のレベルを見極めるということが重要です。

決して「損金」や「節税」といった言葉だけに踊らされず、「何が会社にとって必要か?」を第一に考え、信頼できる保険の専門家と共にリスクへの備えを厚くして行っていただく事が会社を守ることにも繋がると考えます。

今回のコラムが事業運営の一助となれば幸いでございます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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