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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

資産防衛にはふるさと納税!?

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では一般の方へ向けた金融・税務の役立つ豆知識を、税理士・会計士としての立場から、わかりやすく解説してまいります。

コロナの話題ばかりになってしまいますが、先の見えない現代において自身の資産を守っていくことは非常に重要です。ここで「資産を増やす」という方向に目を向けた場合、「投資」という選択をする方もいらっしゃいますが、「投資」に対して今一つ積極的になれない方もいらっしゃるのかもしれません。

そこで今月のコラムでは「資産防衛にはふるさと納税⁉」と題して、ふるさと納税について解説して行きます。ふるさと納税に興味はあるけれどやったことがない…という方は是非本コラムを参考に始めてみてはいかがでしょうか?

ふるさと納税とは?

ふるさと“納税”という言葉がついていますが、実際にはご自身が選択した自治体への“寄附”という扱いになります。ふるさと納税に限らず、自治体や公益社団法人への寄附は寄附金控除の対象となりますが、ふるさと納税の場合は原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税と住民税から控除される仕組みです。

一昔前までは確定申告が必要となりましたが、一般的な給与所得者の方で納税先の自治体が5団体以内の場合「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使うことによって確定申告が不要となりました。

「納税」や「寄附」と聞くと得している感が薄いように感じるかもしれませんが、ふるさと納税の返礼品は「寄附額の3割まで」というルールがあるため、ご自身の収入にもよりますが、仮に年間3万円から4万円を寄附した場合、9千円から1万2千円程度の返礼品が送られます。この分生活費の持ち出しがなくなるわけですから、投資効率としては優秀と言えるのではないでしょうか。

また、所得税や住民税の納税額というものは、皆さんもご存知の通り前年の所得に対して所定の税率を掛け算して算出されます。つまり、ふるさと納税を行わない場合は上記にある返礼品は受け取れず、納税した金額はそのまま全額自己負担となります。

一方、ふるさと納税を行った場合は自身で選択した返礼品が受け取れます。株式投資の様に資産が増えるわけではありませんが、必要経費である税金の一部が“返礼品”として返ってくるわけですので、やらない人は損をしていると言えるのかもしれませんね。

税金が控除される仕組み

自己負担額が2,000円だからといって、残りの金額分税金自体がそのまま安くなるというわけではありません。実際には下記の通り控除額を計算することになっておりますので、上図と合わせてご確認ください。

(引用開始)
①所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
所得税からの控除額は、上記①の計算式で決まります。
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
※平成49年中の寄附までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。
※所得税の税率は、課税所得の増加に応じて高くなるように設定されており、その納税者に適用される税率を用います。

住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、それぞれ以下のように決まります。
②住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
住民税からの控除の基本分は、上記②の計算式で決まります。
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
③住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税の税率)
住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記③の計算式で決まります。
上記③における所得税の税率は、個人住民税の課税所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率であり、上記①の所得税の税率と異なる場合があります。
③’住民税からの控除(特例分) = (住民税所得割額)×20%
特例分(③で計算した場合の特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合は、上記③’の計算式となります。
この場合、①、②及び③’の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。
(引用終了)
総務省HPふるさと納税ポータルサイトより抜粋して引用 2021年9月23日19:38アクセス
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

仕組み上は一見複雑に見えますが、ふるさと納税を取り扱う各種Webサービスや上記総務省HPでは控除額シミュレーターがございますので、自身の収入で控除額の限度を確認したい場合は、源泉徴収票をお手元にご用意いただき、各種サイトでシミュレーションを行ってみることをおススメいたします。

参考までに年収500万円の共働き世帯で高校生のお子さんが一人いらっしゃる方の場合、年間上限は49,000円となります。

他の控除にも気を付けましょう

給与所得者に関らず、自営業の方であっても所得税・住民税が課税されるだけの所得がある方であれば、ふるさと納税を活用することによって実質的な節税効果が期待できることがご理解いただけたかと思います。

しかし、ふるさと納税の他にも住宅ローン控除や医療費控除、生命保険料控除など他の所得控除がある場合は、前述のシミュレーションでも気を付けて入力する必要がございます。

Webサイトを見ていると魅力的な返礼品が数多く存在しますが、あくまで“節税”のために行うのがふるさと納税です。「普通に買った方が結果的に得をした」というケースにならないよう、様々な控除を利用している方は専門家へ相談してみるのも良いでしょう。

今回のまとめ

ふるさと納税は専門サイト等の広告やワンストップ特例制度によって、知名度・利便性が上がってきたように感じます。私の周りではさすがに行っている方がほとんどを占めますが、皆さんの周りの方々はいかがでしょうか? 中には「名前は知っているけれどやっていない」という方も存在するのではないでしょうか。

名前を知っているということは、存在自体は認知しているが、仕組みまでは知らない。ということですので、基本的な仕組みさえ押さえておけば利用した分得をするのは自分です。税金や金融の世界では特に“知らないと損をする”ことが多く存在するものですので、アンテナを高く張り、情報を自らつかみ取って資産防衛・形成の一助として頂ければと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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