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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

飲みに行ったら接待交際費?

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

「接待」と聞くと「お酒の席」を想像される方も多いと思いますが、コロナ禍の現代では以前と比べ少なくなったのではないでしょうか。しかし、お酒を伴わない会食や謝礼といった形で“接待交際費”が意外とかかっていることは多くあるものです。

建設・土木業界に問わず、元請業者やお客様との関係性から“接待”を行う際、皆さんはどのように経理処理をされているでしょうか? 税務調査で目を付けられやすい経費でもありますので、基本的な部分から“接待交際費”について解説させていただきます。

いくらまでが認められるのか?

交際費の内、一定限度額を超える部分については税法上損金に算入しないという制度(交際費課税の制度)は、租税特別措置法により「交際費等の課税の特例」として定められています。

租税特別措置法は会社の事業年度末の資本金の大小により、損金に算入しない交際費の額を定めており、それぞれ次の金額が損金に算入されません。

① 資本金が1億円以下の会社(ただし、資本金が5億円以上の法人の100%子会社等を除きます)
800万円定額控除限度額を超える金額

② ①以外の会社
交際費としての支出金額の全額。なお、交際費の額のうち接待飲食費の額の50%に相当する金額は損金の額に算入されます。

中小法人は、上記の接待飲食費の額の50%の相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用できます。

おそらく本コラム読者の多くは中小法人経営者でしょうから、交際費は接待飲食費を含めた800万円。もしくは、接待飲食費以外の交際費+接待飲食費の50%のいずれかから限度額を選択できると覚えておけば良いでしょう。

どこまでが接待交際費なのか?

「これは経費で落ちますか?」はよくある質問の一つですが、「これは交際費として計上しても良いですか?」も同じくらい受ける質問です。

そもそも接待交際費を含む経費は、本来企業活動を営む上に必要な費用です。
この限りにおいて企業が支出した費用に対して課税すべきではありませんが、交際費は企業活動を営む上での必然性が必ずしも明らかではなく、とかく無駄な費用となりがちです。

また、交際費は “社会通念上”というラインを通してみると、必ずしも好ましい支出であるとは考えられない面もあります。
だからこそ既述の通り損金算入出来る限度額が決まっているとも言えるわけです。

無論、その方が営む事業によって“接待交際費”の範囲は異なってくるので一概に計上できるラインというものは存在しませんが、上記の“社会通念上”という言葉によって一応のラインは存在します。

例えば建設・土木業の方が、元請業者と親睦を図るため宴会を行い、その費用を支出したとなれば接待交際費として認められる可能性は高いと言えるでしょう。

一方で事業と関係のない知人と酒席を共にし、その費用を負担したとしても接待交際費とは認められないことでしょう。

つまり経営者のよくある勘ちがいとして、「飲みに行った費用=何でも交際費」では無いということです。また、上記例の様に営業上必要な宴会だったとしても、その証拠を保存しておくことが重要です。具体的に証拠を保存しておく方法として次の様な手段が存在します。

領収書の保存と詳細の記録

領収書の保存は言うまでもありませんが、誰と何を行ったか? の記録も保存しておく必要があります。

・年月日
・金額
・お店の名前
・お店の住所
・参加者の名前と人数
・その他参考となるべき事項

最低限上記を記録しておきましょう。これは酒席に限らずお客様へプレゼントを贈ったりした際も記録しておくことで、営業上必要となる費用の“証拠”となりますので、「交際費記録簿」のようなエクセルファイルを作成し、事業年度ごとに分けて保管しておくと良いでしょう。

会議費と接待交際費の違い

コロナ禍の現在では写真のようなランチミーティングの開催は難しいと思いますが、会議費と接待交際費を混同している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

二つの費用には違いがあり、国税庁のHPには次のような記載がございます。

飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
国税庁HPより抜粋して引用 2021年9月22日22:12アクセス
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm)

つまり、社内外の人間問わず参加者一人当たりの飲食費が5,000円以下であれば、交際費ではなく会議費として処理することが可能です。
もっとも、会議の議事録や参加者の記録等、会議がきちんと行われた“証拠”を保存しておく必要はございます。

「社内外問わず誰かと喫茶店で話をした=会議費」では決してありません。
重要なことは接待・会議問わず、営業上の必要性が“社会通念上”あるか否か? という点にありますので、日頃からの詳細な記録が大切になってくるというわけです。

今回のまとめ

コロナ禍によって「飲み会」「宴会」「会議」のオンライン化が進みましたが、建設・土木業の方は“リアル”で人と会うことが業務上必要な業種です。

今後、ワクチンの接種等で大きく状況が変わってくることも予想されますが、所謂お酒を伴った「接待」は減ってくることでしょう。しかし、“リアル”で人と会い酒席を共にするからこそ獲得できる仕事も多く存在する建設・土木業界ですので、“接待交際費”の正しい理解は他業界以上に重要であると考えます。

正しい経理処理は結果的に会社を守る事にも繋がりますので、ぜひ本コラムを参考にしていただければ幸いです。

接待交際費の仕訳に悩んだ際はどうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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