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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

建設業のDX

コラム読者の皆様こんにちは!
内山会計の内山でございます。

この記事では建設・土木業の方へ向けて、税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説してまいります。

昨年あたりから様々なメディアで『DX(デジタルトランスフォーメーション)』という言葉を目にする機会が増えたように感じます。そこで今月のコラムでは『建設業のDX』と題し、DXとは何か? 具体的な導入事例は? といった点について解説してまいりますので、どうぞ最後までお付き合いをお願い致します。

『DX』とは?

「DXって要するにパソコンとかネットとかをもっと活用して行こう的なことでしょ?」
と思っている方も多いかもしれません。

そもそも広義のDXとはスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した「デジタル技術が人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。ビジネスでDXと言う場合は、大まかには「AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織体制を抜本的に改革することで、競争優位性の確立や外部環境への適応を目指す」という意味になります。

以前の「IT化」は業務効率化やコスト削減を目的としたIT・デジタル技術の導入のことです。DXはさらに会社運営へ踏み込み、デジタル技術を手段としてビジネスモデルや組織など、より広い範囲の変革を促すものとなります。

コロナと2025年の崖問題

コロナウイルスの世界的な流行によってビジネスのオンライン化が急速に進みました。Zoom等のビデオ会議システムを使ったことの無い方はもはや少ないのではないかと思いますが、様々なビジネスがそうであるように、オンライン化に適応できない事業者は今後衰退していくことでしょう。

これは建設・土木業であったとしても例外ではありません。全ての業務をオンラインで完結することは不可能な業態ですが、『DX』を通して新たなビジネスモデルを模索したり、会社組織を変革したりして行くことは、これからの時代を生き残っていくために必要なことだと言えるでしょう。

また、建設・土木業界に限らずわが国には「2025年の崖」という問題が存在します。
経済産業省の報告によると、今のままでは「IT人材の不足」と「古い基幹系システム」の2つが障害となり、2025年から2030年までの間に、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。この損失はもとより、世界との競争力を維持するためDXが当たり前となる「ポストデジタル時代」に乗り遅れるのは致命的と考えているようです。
この問題に対処するため国としても令和3年度税制改正で「DX投資促進税制」を創設し、民間のDX化の後押しを行っています。

人手不足と高齢化

建設・土木業界では近年人手不足と職人の高齢化に悩まされているという問題がございます。ご存知のように少子高齢化はこれからますます進んで行くでしょうから、若くてやる気のある人材に巡り合うためのコストも自ずと上がって来てしまうことでしょう。

そこで、仕事のクオリティを落とさず“省人化”していくためにも『DX』は建設・土木業にとって必要な手段となってくるわけです。

情報や技術の共有・継承、事業所間のやり取りなどはどうしても紙ベースや現場ベースになってしまいがちな業界ですが、これもAI、クラウド、コミュニケーションツール等を活用して行くことによって、誰がどこまでの技術を有しているのか? といったことや、全スタッフが現場の進行状況をすぐに把握するといったことも可能になるわけです。

さらに、測量へのドローン活用、ICT重機による計測など現場における実際の作業でも『DX』を通すことで省人化へ貢献できる部分は広がってきているのです。今後5G通信が普及して行くことは間違いないでしょうから、現場は今以上に少ない人数で安全に作業を行っていける時代となることでしょう。

導入には補助金が活用できる

『DX』が建設・土木業界へもたらす恩恵は大きなものがありますが、同時にネックとなってくることとして、各種機材の導入費用がございます。

金融機関からの借入という選択肢もありますが、積極的に活用して行きたい資金調達手段として補助金が存在します。中でもIT導入補助金や所謂ものづくり補助金等は『DX』を進めて行くにあたり使い勝手の良い補助金と言えるでしょう。

一点ご注意いただきたい事として補助金活用の際は“専門家選び”を慎重に行っていただくことをおススメします。企業にとって不要な機材やサービスを勧めてきたり、法外な専門家報酬を請求したりといったことは後を絶ちません。

「補助金があるから申請する」という考えではなく、「DXを進めて行くために必要な機材を導入するために申請する」という考えをベースに、親身になってプランを立ててくれる専門家と一緒に『DX』を進めて行っていただければと思います。

今回のまとめ

一口に『DX』を進めると言っても一気に既存システムを更新することは不可能です。現場の理解や関係会社の協力、スタッフへの教育など管理者層が直面する問題は山積しています。

しかし、既存システムもいずれ更新しなければならない時がやってくることは事実です。先述の通り時代について行けない企業は自然と淘汰されていくことになりますので、今のうちからスモールステップで『DX』を進めて行かれることをおススメいたします。

その際に補助金等を活用した資金調達でお困りの際はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

税理士法人内山会計 公認会計士・税理士 内山典弘

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