DREAMJOB Innovation Lab

これからを創造するお役立ち情報 イノベーションラボNews

発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

導入企業が増えている「ワクチン休暇」

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に伴う特別休暇(いわゆる「ワクチン休暇」)を導入する企業が増えてきました。

現在は、大企業を中心とした動きですが中小企業についても従業員から「ワクチン休暇はないのか」という問い合わせが入るケースが増えています。

ワクチン休暇とは

「ワクチン休暇」については、民間企業独自の動きであり現在のところ、政府や国として直接ワクチン休暇を推進したり助成金を支給したりする動きはありません。

ワクチン休暇について、厚生労働省は次のように述べています。

ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
*新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)4-問20

ワクチン休暇は導入する必要があるか

ワクチン接種により、人によっては副反応が出て接種後、数日間体調を崩すケースがあるようです。

そのためワクチン接種を躊躇する人もいるため、ワクチン休暇制度を導入することでワクチン接種を促進し、自社を含めた社会全体の経済活動を復興させることが狙いです。

報道を見聞きした従業員から会社に対して、「ワクチン休暇はないのか」問い合わせが入るケースが増えていることもあり、積極的に導入を進めることで従業員の会社に対する安心感を向上させることにもつながると考えられます。

ワクチン接種と傷病手当金

ワクチン接種が原因で体調を崩し、就業できなくなった場合には傷病手当金の対象となる可能性があります。

傷病手当金の支給を受けるためには、療養のため仕事に就けなくなった日から連続3日間休養(待機期間)している必要があり、支給対象になるのは4日目からです。
*新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)6-問1

ワクチン接種と労災保険

ワクチン接種が原因で体調を崩し、就業できなくなった場合、医療従事者については労災保険給付の対象になる可能性がありますが、一般の人については労災保険給付の対象外というのが基本的な考え方です。
*新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)5-問9

ワクチン休暇を導入時の注意点と検討課題

従業員からの要望に応えるようになし崩し的に導入してしまうと返って混乱を招くことにもなりかねません。

ワクチン休暇を導入する際には、あらかじめ次のようなことを検討しておくとよいでしょう。

○有給/無給
○ワクチン休暇の日数
○所定休日等と重複した場合の取り扱い
○休暇の単位(日/半日/時間)
○証明書の提出の有無

基本的には、法定の年次有給休暇とは別で特別休暇として付与することになるので従業員にとって有利な制度となり労務トラブルになる可能性は低いですが、最低限のルールは定めておく必要があると考えます。

現在のところ、政府から特別な要請や支援はありませんが、従業員の安心安全や社会全体の経済活動の復興を考えるとワクチン休暇の導入は、重要な検討課題であるといえます。

制度設計や制度導入に関するご相談、ご質問は、社会保険労務士法人GOALまでお問い合わせください。

社会保険労務士法人GOAL 代表社員 社会保険労務士 久保田 慎平

【著者関連記事】
●「労務管理の中で「勤怠管理」「労働時間管理」は必須項目!」
●「在宅勤務を導入するときの在宅勤務手当と通勤手当の考え方」
●「正しく運用しないとリスク大!雇用契約と業務委託契約のちがい」
●「育児介護休業規程の見直しはお済みですか?」
●「定期的な見直しが大切!就業規則と雇用契約書」

当該コラムは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の協力のもとに、DREAMJOB Innovation Lab(運営:株式会社DREAMJOB)が運営管理しております。