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発行 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
編集 DREAMJOB Innovation Lab

遺品整理や生前整理と許認可の関係

引っ越しが増えるこの時期、自宅やオフィスの周りでは不用品回収のトラックが「無料で引き取りますよ~」というアナウンスで走り回っているのを目にすることが増えるのではないでしょうか。
また、少子高齢化が進み、孤独死が問題になって久しいですが、なくなった方の遺品整理も今後さらに需要は増えると考えられています。

許認可から見るご家庭の廃棄物回収

ですが、許認可の観点から見ると、この不用品回収や遺品整理というのは非常に扱いが難しいものなのです。どういうことかといいますと、ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要なのです。実際にそうした業者さんが持っているのは「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」であることが多いのですが、それでは回収してはいけないのです。産業廃棄物処理業許可は、工場や企業の廃棄物を処理するための許可です。古物商の許可は、中古品等の売買を行うための許可です。つまり、両方の許可があっても一般家庭のゴミを回収することはできません。

新規参入ができない一般廃棄物収集運搬業

では一般廃棄物収集運搬業の許可を取ればいいのでは?となりますが、ここに大きな問題があります。というのも、現在多くの市区町村では新たに一般廃棄物収集運搬業の許可を出していないのです。建設業や運送業、飲食業など許認可を取らないと営業できない仕事は1万種類以上あると言われていますが、基本的には要件を満たせば許可がおりるところ、この一般廃棄物収集運搬業に関しては、既存業者で処理ができている以上は新規参入ができないのです。

廃棄物が適正に廃棄されるためには

逆にいうと、違法な業者に委託をしてしまうリスクもあるわけです。特に企業から出るゴミの中には事業系一般廃棄物というものもあります。例えば書類や不要になった木の机や棚などですが、これらも一般廃棄物収集運搬業の許可を取得していない会社に委託することは原則禁止されています。なぜこうした規定になっているかといえば、廃棄物は適正に処理されず、不法投棄や解体などが行われてしまうと環境に悪影響を及ぼす可能性があるので、しっかりと要件を備え許可を出した業者のみが請け負えるようにしているのです。

法制度の変化が必要となってくる時代に……

一方で、特に遺品整理など行政側の対応が追いついていないケースも往々にしてあります。また、それこそ急に転勤が決まり、引っ越さなくなったとしても、市区町村の粗大ごみ回収が混み合っていたり、すぐに対応できない場合も少なくありません。そうしたときには現実的に事業者に依頼をしなくてはなりません。
 全く同じペットボトルでも家庭から出るかオフィスから出るかで一般廃棄物か産業廃棄物かに別れたり、価値があるかないか判断が難しく、そもそも廃棄物なのかどうかも曖昧な部分もあります。これから廃棄物の適正処理がSDGsの絡みでも更にクローズアップされてくると思いますが、法制度も変化していく時代に来ているのかもしれません。
自社でゴミを出す際にはぜひお気をつけください。

GOALグループ代表 行政書士 石下 貴大

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